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2016年3月

2016年3月18日 (金)

マイナス金利だけど、外貨預金はやめとこ

今年1月に日銀がマイナス金利導入を決めてから、各方面で様々な動きが広がっています。その一つとして、先日の日経新聞に、銀行が外貨預金をPRしているとの記事が載っていました。円金利がこうなら、少しでも金利が高い外貨での預金をお勧めするということ。銀行としてもそうするしかないだろうなという印象です。


しかし、僕なら外貨預金はしません。お得じゃないからです。何故お得じゃないのかを説明しましょう。


外貨預金には、為替レートをカバーするかしないかの2通りの方法があります。

まず、カバーする方法です。カバーとは、満期到来して円転する際の為替レートを現時点で固定しておくことです。先物為替予約締結の方法で行います(ヘッジという言葉がありますが、カバーとヘッジは違います)。


仮に、\金利1.0%、US$金利2.0の環境で、実勢為替相場\110.00の時、\1,000,000を元手にUS$1年定期預金を作るとします。この時の1年後解約時の先物為替レートは、108.9215686となりますから、米ドル建て元利合計US$9,272.73をこのレートで円転すると\1,010,000.。円のまま運用する場合は元利合計が\1010,000


つまり、

百万円を米ドルで運用後に円転 →\1,010,000

百万円を円のまま運用しても →\1,010,000

と同じなるというわけです。


先物為替レートが108.9215686というのがおかしいんじゃないの?

いえ、先物為替レートは下の方程式の解で求められるのです。

\1,000,000×1.01=((\1,000,000÷110.00)×1.02)×FR FR:先物為替レート)

式の意味は、左辺が円のまま運用した場合の元利合計、右辺が米ドルに換えて運用した場合の元利合計。両者が同額になるようにFRが決まるというものです。


両者が同額になるように為替レートが設定されるなら、円運用も米ドル運用も元利合計が同額になるのは当たり前のこと。でも、それはなにも上の方程式が意図して作為的に作られているのではなく、市場がそこに均衡するという仕組みを反映したに過ぎません。仮に為替レートが108.9215686より円安なら外貨預金に殺到するし、逆なら外貨保有者が円預金に殺到。108.92156886に着地するまでその動きが続き、結局そこへ落ち着くのです。これが裁定取引です。


さて、次にカバーしない方法です。

カバーしないので、満期日の円転レートを今決めることはできません。仮に110.00のまま動かなかったなら、

((\1,000,000÷110.00)×1.02)×110.00\1,020,000

となり、円のまま運用するケースに比べて\10,000余計に利息が付きます。


しかし、期日の実勢レートが108.9215686より円高になっていたら、円のまま運用していたケースより損するということになります。そのレート差は約1円。先月は1カ月の間に為替が10円動きました。1年もあれば、どれだけ動くかわかったもんじゃない。こうなると、もう預金金利が高いだの低いだのという問題ではありません。


まるで1問正解で1点ずつもらえる10問のクイズで、最後の10問目だけ一発逆転の100点差し上げます・・・みたいな。最後の1問のリスクは極めて高い。為替リスクは裸にしておくと、金利なんか吹っ飛んでしまうほど大きいのです。Mrs.Watanabeくらいの度胸があれば頑張れるかもしれませんけど・・・。


もちろん、この間に円安になる可能性もあります。賭けるなら、1ヶ月のお小遣い程度の規模にしておいたほうがいいのではないでしょうか。


実はさらにやっかいなことがあります。銀行の為替手数料です。TT幅は1円ですが、経常取引先なら多少の優遇はあるでしょう。仮に片道0.5円だとしたらどうでしょうか。さきほどの例では。


カバーした場合:((\1,000,000÷110.50)×1.02)×108.4215686\1,000,814

カバーしない場合:1年後のレートが1円だけ円安になってはじめてトントンという具合に、はじめから不利な条件でスタートをきらなければなりません。


ちょっと長くなりましたが、このような理由で、僕は外貨預金はしないことに決めています。

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2016年3月 1日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年2月末現在)

【米ドル】

2月のドル円は前半から大きく落ち込みました。

月初は、1月末のマイナス金利導入決定を受けて円安水準の121円台前半で始まりましたが、その後みるみる円が買われ、211日、日本が祝日で市場が休みだった日には一時、2014年秋の水準である110.99をつけました。円に関しては主役であるはずの日本が休みの間に、こんな値動きを見せるとはなんということでしょう。主人の留守中に「やることやっちまえ!」という仕掛け人の仕業でしょうか。

それにしても110.99で米ドル売った人は上司にこっぴどくしかられたでしょうね。でも、私ならこのポジションは大切に温めておきます。いずれ生きてくると思いますから。

冗談はともかく、2月の相場に話を戻します。ドル円相場はその後も112114の範囲でうろうろした後、結局月末には112円台後半で終わりました。急激な円高の原因は、このところ続いているリスク回避の動きです。

中国はじめ新興国の経済減速はしばらく前から言われてきましたが、それに加えて、原油価格の大幅下落にともなう投資マネーの引き揚げが始まっているほか、米金融当局による金利引上げに伴い、やはり新興国から米に資本が引き揚げられるとの懸念が広がっていることが背景にあります。この大きな流れには日銀の「ビックリポン」もたちまち効果を失ってしまいました。

 

【ユーロ】

2月は山を描きました。

1.08台半ばで始まったあと、米金融当局による金利の継続的な引き上げ予想が後退したことなどから、前半に1.13台半ばまで上昇しました。しかし、その後、15日に欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁が会見で、市場の波乱が金融政策効果を脅かしそうなら対処するというような趣旨の発言があったことなどをきっかけに弱含み、月末には再び1.10を割り込む1.08台中後半に戻って終わっています。

因みに、ドラギ総裁の「対処」とは追加で緩和するという意味ですから、そうなると資産選好マネーはユーロから離れていきます。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

リスク回避の動きがこのところのドル円相場を落としている主な原因ですが、リスク回避はアセット・アプローチの動き、つまり資金が有利な運用を求めて動き回る作用と同じです。運用に有利な状況とは、運用利回りが高いことですから、金利が高い通貨に流れますが、リスク回避は運用損を被りたくないという消極的なアセット(資産)アプローチ(選好)なのです。両者に通底するのは「価値の保蔵」であり、基本的には短期の相場予測理論です。そのスパンに限定して、ここしばらく見守っておかなければならない材料は・・・

Ÿ こんな状況では米金融当局(FRB)は継続して金利を上げにくい(ドル売り材料)。

Ÿ 原油は引き続き不安定な動き、特に産油国財政は悪化しており、このリスクが緩和される好材料が当面見当たらない(円買い材料)。

Ÿ 日銀も追加緩和手段に乏しくなってきたほか、、G20声明にもあるように意図した円安誘導ととられかねない事態となり、対処にくい(円買い材料)。

逆に、

Ÿ 欧州は実体経済は底堅いものの、デフレからの早期脱却は困難で中期ではユーロ円は買われる可能性がある。

Ÿ 比較的良好な各指標にみられるように米国経済は悪くない。このリスクに市場が馴れて、再び米金利引上げに目が集まる可能性がある。

などのドル高材料もあります。

 

ユーロドル ・・・

ユーロ圏はデフレから脱却できないでいます。ユーロ圏消費者物価指数は2011年に2.7%、20122.5%、20131.3%、20140.4%と推移し、2015年はとうとう0.0%(外務省主要経済指標)になってしまいました。

デフレは長期ではユーロ高ですが、短期では金融緩和措置を採るため、ユーロ安効果となって顕れます。そのため、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、なかなかインフレ目安(年率2%近く)に届かず、緩和措置が浸透していないとぼやくと、緩和によって金利がまた下がるからユーロが米ドルに対して売られるというのが今の構図です。対する米金融当局は利上げに動いていますから、そのコントラストもその動きを加速させているのでしょう。

一方で意外なことに、このところの新興国経済減速や原油安に伴う投資マネーの引き揚げリスクの回避先として、円の他にユーロも使われているようです。ということはつまり、買われている側面もあるということです。

しかし、意外といいつつ意外とは言えない面もあります。

上記の金融緩和を材料にしたユーロ売りは運用通貨として魅力がないことに起因するアセット・アプローチですが、同じ価値保蔵という目的からは、安全資産としての魅力もないがしろにできません。実体経済が安定している国の通貨で持っていれば安心という考えです。ユーロ圏の実体経済はどうなのでしょうか。

2015年のGDP成長率1.5%に対し、IMF2016年成長率を1.6%、OECD1.8%と予測しています。実際に鉱工業生産(実質額前年対比)は2014年から2015年に改善してこれを裏付けています。また、2008年・2009年と赤字だった経常収支は、それ以降ずっと黒字を続け、2014年は27510億ドル)。IMF world economic outlookによれば、2015年は33%増の36510億ドル)と予想、続く2016年、2017年も35010億ドル)前後と予想しています。

ユーロ圏の実体経済は底堅く、確実に回復しているのです。

こうなると、IMMの大量売りポジションはいつ巻き戻されるかわかりませんよ。金融政策スタンでみるか、実体経済の底力でみるかでユーロの方向は180度ことなります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 3. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 4. 中東諸国、サウジ・イラン断交に始まる、サウジはじめスンニ派諸国とシーア派イランとの対立激化

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 3. シリア、中東諸国の混乱状況。リスク回避機運高まれば、米ドル売られる。

 4. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 2. 円安による輸出促進効果で貿易収支の改善、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

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