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2016年6月

2016年6月 1日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年5月末現在)

【米ドル】

5月は上昇(106円水準から110円水準へ、ドル高円安)しました。

前月(4月)に111円水準から106円水準へ円高に変わった分を、5月に取り戻したという印象です。では、4月にドル売り要因となったものが、5月には否定されたのかというと、その通りです。先月書いた4月の円高要因は、

・米FRBが金利引上げに慎重になったこと(利上げ遠のく)

・産油国会合で増産凍結に合意できず、原油価格下落したこと

2つでした。

これに対し、5/27のイエレンFRB議長が講演で利上げを示唆したことが第1の要因を否定し、原油価格も50ドルの水準に戻す等堅調に推移したことが第2の要因を否定したというわけです。

これに加えて、もうひとつ円安材料がありました。前月は短期材料として「当局の介入姿勢に関する発言」を挙げていました。日本の介入への牽制が強く、どちらかというと円高材料だったわけですが、5月は麻生財務相が、いやいや介入だって選択肢だと介入牽制を逆に牽制する発言をしたのです。

せっかくですから、IMFの為替管理制度の分類を紹介しましょう。

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日本はこのうちの「自由変動相場制」を適用している国です。

自由変動相場制は、市場介入が市場秩序を守る目的に限定された例外的なものであり、過去6ヶ月の実施が3回以下でかつ1回の介入が3日を超えていない場合とされています。つまり麻生財務相の言うように、介入は絶対やっちゃいけないものではなく、政策上の選択肢になりうるのです。このところのドル円乱高下は、まさに市場の「ごろつき」によって秩序が損なわれている状況ではないでしょうか。

先日、日本を監視国にしたレポートでも、日本はここ数年介入していないと認めていますから、海外の介入牽制は少し厳しすぎるのではないかと思います。

 

【ユーロ】

5月はユーロが安くなりました。

ドル円と同じように、ユーロもドルに対しては、4月に獲得した地歩を吐き出し、1.14水準から1.11水準まで後退てしまったようです。

要因はやはり、ユーロと米の金融政策スタンスのギャップでした。

ECBのスタンスが4月理事会開催分の議事録で、物価上昇に寄与する政策が払底しつつあるとのニュアンスで伝わると、それこそ異次元の緩和に打って出るのではないかと期待から、投機筋がユーロ売りにでました。一方の米ではドル円の上昇要因にもなったイエレンFRB議長の利上げ示唆講演がありました。両方でスタンスのギャップを拡大する動きがあったのです。

なお、4月に注目されたギリシャ問題は下旬に、第3次支援の第二弾支援内訳が合意され、事なきを得ましたのでこれにかかるユーロ売り要因は当面なくなりました。

ただし、ギリシャ第3次支援が終了するのは2018年ですから長期材料として押さえておく必要があります。

それともうひとつ5月には象徴的な動きがありました。独バイエルによる米モンサント買収です。買収資金が相当の高額になることが報道されると、ユーロが一段売られました。米ドルで買収資金を捻出するためにユーロが売られるだろうという思惑が働いたのです。買収など対外直接投資は投機とは異なり、無期限のポジション傾斜要因ですから、久しぶりに実需のインパクトをみたような気がしました。余談ですが。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期的には、今月実施予想されてい米利上げの動向です。利上げはドル買い円売り材料ですが、それが実施されてしまうと材料が剥げ落ちたということになって、新たな円買いポジション形成に動く可能性があります。

中長期的には黒字定着する貿易収支と経常収支です。貿易収支説により基調は円高ドル安とみるのが自然です。

 

ユーロドル ・・・

超長期的には、ユーロ体制の構造的欠陥が表面化することで大きく評価が下がると思いますが、短中期的には堅調なファンダメンタルから現状水準以上に評価されるのではないかと予想します。

但し、今月の英国でのユーロ離脱を問う投票には短期的にはリスク材料として注意しておく必要がるでしょう。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 3. 英国のユーロ離脱投票結果:離脱はユーロ通貨評価を落とす。

 4. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 6. 金融当局による介入姿勢に関する発言など。介入懸念は円安、介入牽制は円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 3. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 4. 欧州の政治要因:テロ対策や難民対策など、リスク退避先として評価されつつあるユーロに不安。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 2. 円安による輸出促進効果で貿易収支の改善、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 6. ギリシャ問題:2018年に第3次支援終了

 

 

以  上

 

 

 

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