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2016年7月 2日 (土)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年6月末現在)

 

【米ドル】

 

6月は急落(円高)しました。

 

なんといっても英国の国民投票の結果、EU離脱が残留を上回ったことですが、まずは月初から順に追っていきます。注目点は月初と月央、月末の3ヶ所です。

 

 

 

5月に、円高材料であった「米利上げ遠のき感」と「原油価格下落」が少し和らいで、6月は110円近辺で始まりました。そこで月初の注目点です。ECB欧州中央銀行の理事会は緩和維持方針変更なく市場へのインパクトありませんでしたが、月初恒例の米雇用統計は、市場の予想を大きく下回る結果だったことから、利上げ機会がさらに遠のいたとの見方が広がり、106円台までドル急落しました。その前の6/2、半年に1回のOPEC総会で増産凍結が決められなかったことも原油価格下落リスク(オイルマネー引き揚げによる世界経済懸念から避難先通貨「円」が買われる)を予想させて円買い材料となりました。

 

 

 

月央には、6/15に米FOMC会合、6/16に日銀政策決定会合があり、両方とも円高の原因となり、103円台前半まで進みました。FOMCは政策据え置きで利上げ遠のき、日銀も緩和維持で一部の緩和期待筋が円買いに出たという反応の仕方です。

 

 

 

月末は英国の国民投票です。数日前の残留派議員が殺害された事件への同情票なども手伝って、残留優勢と伝えられ、開票直前に106円台まで円買いポジション解消が進んでいましたが、一転逆転し、日本時間午前1140頃には99円丁度付近で出会いがあったようです。値が飛んで次のオッファーがない状態だったんでしょうね。

 

 

 

私も昔、プラザ合意後の揺れた市場でスポットディーラーをしていたとき、次の価格が2円ほども飛んだという乱高下を経験しました。こんなときディーラーはとっても興奮しますね。私は大損こきましたけど。

 

さて、離脱ショックの後は、利食いが入る等多少落ち着いて102円付近で月末を超えました。

 

 

 

【ユーロ】

 

6月は急落(ユーロ安)後、戻しました。

 

ただし、ユーロ円は急落(ユーロ安円高)したままです。

 

月末(6/23英国民投票)までは、買い売り交錯しながら、1.121.13台後半の底堅い水準で推移していました。具体的には、5月にECB欧州中銀の追加緩和期待などから1.11台に弱含んで6月が始まり、ユーロ買い材料としては、

 

Ÿ 月初の米雇用統計:市場予想より大幅に悪く、米ドル売られた。

 

Ÿ 月央発表された、欧州4月鉱工業生産の好結果。

 

Ÿ 月央の米FOMC:利上げ遠のきドル売り材料。

 

 

 

ユーロ売り材料としては、

 

Ÿ 独国債の利回り低下。

 

Ÿ 英のEU離脱懸念。

 

 

 

で、6/23の英国民投票の結果を受け、6/24には1.09台前半まで急落しました。その後は1.12台半ばまで戻して月末を超えています。

 

 

 

 

 

【今後の短期~長期予想】

 

ドル円 ・・・

 

英国の国民投票でEU離脱が僅差ながら勝利して終わったことで、この先は相当不透明な状況が続きます。

 

短期では、再び2桁(99円台)に入るなら、円売り介入が入ってくると思います。

 

中期的には見方が2つあります。

 

 

 

まず、ユーロ圏、英国の不透明感から、当面米が利上げする状況は見込めず、米ドルが円に対してなかなか買われない(ドル安円高)との見方です。先月、先々月から、米FOMCが経済見通しに多少弱気になり、市場もそれを見越して円先物買いポジションを積み上げています。

 

 

 

他の1つは、混乱の中で欧州経済が停滞する短期的には非難先通貨として円高(介入懸念ありながら100103円水準)圧力かかるが、中期では貿易収支や経常収支が悪化して円安材料となるという見方です。ただし、相当限定的だと思います。

 

超長期的にも見方が2つあると思います。

 

1つは、以前から言っているように、デフレと経常収支黒字からじりじりと円高ドル安に進むとの見方です。水準はわかりませんが、現状からさほど離れない円高水準、つまり90100円。

 

 

 

他の1つは、財政破綻から円が暴落する見方です。いつまでたっても健全化しない財政運営に加えて消費税導入をまた延期しました。それに加えてマイナス金利政策の影響でいままでせっせと国債を消化してきた大手銀行が国債保有を落としています。日銀による財政ファイナンスが常態化する傾向にあります。

 

 

 

ユーロドル ・・・

 

英の国民投票によって市場が神経質に反応するため、短期の見通しは極めて困難です。ギブアップしましょう。

 

 

 

以前から、超長期ではユーロ体制の構造的欠陥が表面化するこtで大きく評価が下がると申し上げてきました。英がEUを離脱するならそのリスクはますます高まると思います。

 

ユーロはマンデルフレミング法則に挑戦しています。その蟷螂の斧が弱いということが表面化する前に財政統合を終わらせたいところですが、事は簡単ではありません。財政統合には一定の政治統合も必要なわけですが、それに反発したのが、今回の英国民投票です。それだけ財政統合や政治統合には困難が伴うし、それがEU各国に幸せをもたらすとは思えないのです。イタリア一国の中にさえ深刻な南北問題があります。財政統合が進むと現状でも毎夏に表面化するEU全体の南北問題がより深刻になるでしょう。

 

 

 

ドイツは通貨が増価するリスクを心配することなく、膨張する経常黒字をエンジョイできるが、他はいくら赤字を垂れ流しても通貨価値変動による調整機能を失っていますから、際限なく財政出動を要求するでしょう。しかし、財政統合されてもドイツは負担しないと思います。いまでも不満をもらしているからです。

 

 

 

私は、英の離脱意思は必ずしも間違った選択ではないと思っています。かつて、マグナカルタは英で作られ、最初の市民革命は英で起こり、産業革命は英から始まりました。大きな政府の役割を解いて世界恐慌を救ったケインズは英国人、そのケインズ経済を放棄して新自由主義を始めたのも英国(サッチャー首相、レーガノミクスとほぼ同時)です。

 

 

 

思想的潮流の変化はいつも英から始まったのです。だから、今回もというわけではありませんが、世の中はそろそろ経済価値への価値観単一化から、多様な社会価値を求めるようになってきたのではないでしょうか。英の意思はトランプにも通じるポピュリズムだというコメントが多く発生られていますが、そもそも大衆迎合の大衆はそこに居る多くの国民です。やはり政治は多くの国民が幸せになるものでなkればいけません。

 

 

 

今回の国民投票は、移民拒否などの短期利害によるものも大きかったのでしょうけど、やはり大きな争点は自律性回復です。自律回復と経済合理性のどちらが大事かという点です。自律性回復は孤立主義ではありません。各国が自律し、各地に広がって互いに協調する姿がこれからの在り姿ではないかと私は考えます。協調するためにはそれぞれが自律していなければなりません。自律のない協調は、一見協調に見えてその実、かつての冊封体制のように力と無言の圧力によるみせかけの平和でしかないのです。

 

 

 

ちょっと饒舌が過ぎました。・・・反省。これくらいにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 

 2. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 

 3. 英国のユーロ離脱投票結果の後遺症。

 

 4. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

 6. 金融当局による介入姿勢に関する発言など。介入懸念は円安、介入牽制は円高。

 

 

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 

 3. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

 4. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

 5. 欧州の政治要因:テロ対策や難民対策など、リスク退避先として評価されつつあるユーロに不安。

 

 

 

【長期的な材料(数年)】

 

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 

 2. 円安による輸出促進効果で貿易収支の改善、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 

 4. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 

 5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 

 6. ギリシャ問題:2018年に第3次支援終了

 

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

 

 

 

以  上

 

 

 

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