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2016年10月 3日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年9月末現在)

【米ドル】

9月は少し円高になりました。

前月(8月)末のイエレンFRB議長の講演内容が米利上げを期待させるものだったことから、103円台までドルが強含んで月末を越えましたが、月初2日の米雇用統計発表(市場予想を下回った)に一次ドル売りで反応した後、米金利上昇にすぐ反応して、104円台まで上昇(円安)しました。

その後は、黒田日銀総裁の講演で追加緩和の期待が後退したり、それを支援するような浜田内閣官房参与の発言があったりして101円台まで下落(円高)する場面がありました。しかし、一方で財務相(日本)が40年国債増発を発表したり、日銀も長期国債を買い入れるとの報道があったりして、103円まで上昇(円安)する変化も見せました。つまり、金融スタンスに関する報道や発言に左右され、101103円台で行ったり来たりしたのです。

それは結局、21日の日銀政策決定の発表と米FOMCで、両者ともドル売り円買いの方向で反応したため、100円台まで下落しました。日銀は一部で期待された緩和策がなく、FOMCは政策金利据え置きだったのです。

下旬は、原油価格が相場の材料となりました。OPECが大方の予想を裏切って増産凍結で一転合意したのです。これにより、世界経済の先行き不安の原因となっていた原油価格下落に歯止めがかかると評価され、リスク避難先通貨の円が少し売られた結果101円台まで戻し、結局101円台半ばで月末を越えました。

 

【ユーロ】

9月はあまり動きませんでした。

8月は1.11台で始まり、1.13台まで上げた後再び1.11台に戻ってくる、行って来いの相場でしたが、9月は多少の値動きがあったものの、1.12水準で方向感のない相場展開となりました。

月初は、1.12を切る水準ではじまった後、米雇用統計の結果を受けて一時的に1.25台に上昇しますが、すぐに1.12を切る水準にもどりました。その後は欧州中銀の政策スタンスは据え置きと発表され、ドラギ総裁も追加緩和には消極的な発言をしたことから若干強含む場面がありました。しかし、大きく方向を変えることなく、日銀の政策決定会合や米FOMCの結果への動意も限定的でした

ただ、下旬にかけてドイツ銀行の資本毀損が市場の不安材料となり、ユーロ下落につなる場面があったことはいつもと違う話題として少しだけ目をひきました。もっとも、後に資本毀損の原因となっていた制裁措置に配慮するような動きがあってこれも今のところ大きな問題にはなっていません。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

米FRBは年内に一度利上げすると言っています。それを評価した結果現在の101円台半ばでの推移がありますので、これを持ち越すようなことがあると円が買われる方向となるでしょう。

一方の日銀はマイナス金利政策の総括を9月に行ったものの大きな方向転換はなく、市場の反応は限定的でした。ただし、この中で一部国債の利回りの低下に歯止めをかける操作方針が発表されたため、今後の長期金利の変化が気になります。民間の運用利回りに配慮した結果ですが、現状ではあまり効いていないようです。

それより、原油価格動向がにわかに材料として浮かび上がってきました。いままでは経済制裁から解放されるイランが増産に固執してきたことなどから下落を続け、これに世界経済の停滞が加わって将来も上昇することはないだろうとの予測でした。その結果、新興国の経済がますます停滞してリスク回避通貨の円が買われて円高の要因になっていました。しかし、OPECが一転増産凍結合意したことから潮目が変わった可能性があります。原油価格が上昇すると新興国経済が回復してリスク回避ムードが和らぐほか、日本の経常収支黒字が減少し、国際収支説にしたがうなら円安に向かうと予想されます。

この影響はただちには顕れませんが、中長期的には考慮しておかなければなりません。

 

ユーロドル ・・・

エマニュエル・トッド氏は、EUを離脱しようとしている英国に問題があるのではなく、問題はEUが抱えているのだと書いています。ユーロはドイツに支配されるだろうなど少し過激な発言が目立ちますが、EU制度自身に問題があるという見方はあながち間違ってはいないのではないでしょうか。先月書いたように、EUはマンデル・フレミングの法則に対して蟷螂の斧を振りかざしています。ユーロ通貨が始まってからの対米ドル相場は2008年頃をピークに、現在は歴史的に低い水準で推移していますが、だからといってそろそろ反転して再び1.41.5まで伸びるだろうとの予想が成り立つとは思えません。

もちろん、欧州中銀に追加緩和策の余地なく、一方の米FRBが年内利上げを断念するような事態が発生するなら短期的には上昇する場面もあるでしょう。しかし、それはあくまで短期の話。長期では弱い方向だと思います。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 3. FRBの年内(2016)利上げ方針を狂わせる発言や政策スタンスに関する見解など。

 4. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 5. 英国のユーロ離脱投票結果の後遺症

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. OPEC増産凍結合意(2016/9)を受けた原油価格動向:上昇は円安要因。

 4. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 5. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 6. 欧州の政治要因:テロ対策や難民対策など、リスク退避先として評価されつつあるユーロに不安。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 2. OPEC増産凍結合意(2016/9)を受けた原油価格動向:上昇は円安要因。

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 6. ギリシャ問題:2018年に第3次支援終了

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

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