« 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年9月末現在) | トップページ | 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年11月末現在) »

2016年11月 1日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年10月末現在)

【米ドル】

10月は円安が進みました。

米ドルはユーロに対しても堅調に推移しましたから、円安というより、米ドルが買われたと言うべきかもしれません。

月中を通して市場の心理にあったのは、米利上げです。年内に利上げすることは誰も疑っていませんが、主要な経済指標が発表されるたびに、「それ利上げにプラスなのかマイナスなのか」という視点で評価され、相場にも反映しました。米指標が予想を上回れば利上げ環境を損なっていないとして、金利裁定が働き、ドル買い円売りとなるわけです。

円買い材料がなかったということもドル買いに寄与しました。このところの円買い材料は下記の2つですが、いずれも10月はなりを潜めていたのです。

Ÿ 新興国経済低迷への不安→リスク回避行動→円買い

Ÿ 原油価格下落→新興国経済後退→リスク回避行動→円買い

新興国経済については、例えば、中国のCPIが予想をやや上回ったことや鉱工業生産がそれなりだったことなどで大きな懸念にはつながりませんでした。

また、原油価格については先の増産凍結合意があって落ち着いています。

結局、相場は月初の101円台からじりじりと上昇し、下旬には一時105円台前半まで伸ばして、104円台後半で月を越えています。

尚、米雇用統計や本邦の貿易統計の影響は限定的でした。

 

【ユーロ】

10月はユーロ安が進みました。

これも米ドルが買われたという方がいいでしょう。なので、ユーロ安の材料はドル円で述べたこととほぼ重複します。

ただ、ユーロでは、以下の3点が気になるところです。

1.欧州中央銀行(ECB)の動向

ECBの金融政策スタンスに関する近時の話題は緩和措置の延長か縮小かです。ECBは2015123日の理事会で、20153月から開始した量的緩和策の期限を当初の20169月から20173月まで延長しました。しかし、緩和効果は徐々に出ており、鉱工業生産やCPIもこのところ堅調に推移しています。緩和は縮小してもいいのではないかとの議論が起こっています。「テーパリング(先を次第に細くするという意味)」と言われているようです。これをドラギ総裁や関係者が否定したり期待させたりするから、市場がいちいちこれに敏感に反応しているのです。10月では、20~21日に相場変化として顕れました。

2.経済のファンダメンタルズ

ドイツを中心として底堅く推移しており、いつも夏になると物議をかもしだすギリシャ問題も今年はすでにクリアしています(まだ先がありますが)。10月は、ドイツ銀行の経営不安も払拭するような四半期決算が発表されるなど、企業業績も悪くありません。

3.英国のEU離脱

離脱交渉の行方によっては欧州経済に大きな打撃になるか、それとも軟着陸するか現状はまだ見通しがききません。要人の発言に注目が集まります。

これら3材料は、気になるもののいずれも10月ではあまりユーロを買う方向には作用しなかったようです。結局、相場は前月を受けた1.12台半ばから月末近くの1.08後半までじりじりと値を下げました。最後にクリントン候補のメール問題再燃でちょっと買われ、1.09台後半で月を越えています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

10月の動きで、経済的なリスク懸念が後退して回避先としての円買いがないとかきましたが、伏兵がいないとも限りません。国際決済銀行(BIS)によれば、新興20ヶ国の債務は7年前に比べて3倍に膨張したそうです。この間のGDPが1.5倍にしかなっていないことを考慮すると膨張し過ぎだとの記事が今朝の日経に載っていました。

この状況下で米国が利上げすると、新興国の金利負担が大きくなることが懸念されます。それよりも心配なのは、1997年のアジア通貨危機のような資本逃避です。リスク回避の円買いが進むかもしれません。さらに、これを心配した米国が年内の利上げを見送るような事になれば、これも円買い材料です。

原油価格の動向も注目しておかなければなりません。OPECはイランの増産をなんとか抑えていますが、本番は11月の総会ですから、これに向けた生産調整の協議が進むでしょう。合意できれば新興国経済が持ち直す材料となりますから円安、合意できなければ円高です。

 

ユーロドル ・・・

上で書いた、新興国経済と米国の年内利上げ、原油価格動向はユーロに対しても作用します。

ただし、新興国経済の悪化はユーロ買いになるのか売りになるのかは不透明です。ユーロ自身がリスク回避先としてまだ地位を固めていないからです。それでも新興国経済悪化を懸念した米が利上げを先送りするならユーロ買いが進むでしょう。原油価格も同様です。

ユーロに関しては、他に英国のEU離脱ショックがあります。また、欧州中銀はテーパリング(緩和措置の縮小)をするかしないかをまだ決めておらず、それを11月の理事会まで持ち越しているというのが市場の見方のようです。11月の会合とドラギ総裁の記者会見は先月以上に注目しておくべきだと思います。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 原油価格動向(2016.11.30OPEC総会で生産調整枠組み合意できるか)、下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 3. FRBの年内(2016)利上げ方針を狂わせる発言や政策スタンスに関する見解など。

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. OPEC増産凍結合意(2016/9)を受けた原油価格動向:上昇は円安要因。

 4. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 5. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 6. 欧州の政治要因:テロ対策や難民対策など、リスク退避先として評価されつつあるユーロに不安。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 2. OPEC増産凍結合意(2016/9)を受けた原油価格動向:上昇は円安要因。

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 6. ギリシャ問題:2018年に第3次支援終了

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

 

|

« 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年9月末現在) | トップページ | 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年11月末現在) »

外国為替相場の動向と変動要因分析」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548369/64431636

この記事へのトラックバック一覧です: 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年10月末現在):

« 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年9月末現在) | トップページ | 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年11月末現在) »