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2016年12月

2016年12月 3日 (土)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年11月末現在)

【米ドル】

11月は円安一辺倒でした。

月初は、104円台前半で始まりました。注目されていた米大統領選挙では、直前にFRBがクリントン候補のメール問題を手仕舞うと発表した安堵感もあって開票開始時は米ドル強含みでしたが、トランプ優勢で進むと一気に101円台前半までドルが売られました。ところが、欧米市場が開始すると解釈が変わり、一転してドルが買われ始めたのです。

そこからは月末にかけて、ドル高円安一辺倒となり、じりじりと10円以上も円安が進みました。解釈の変化は下記のとおりです。

・ドル売り円買い:トランプ新大統領政策上の不透明感からリスク回避先の円を買う。

・ドル買い円売り:トランプ新大統領の積極的な経済政策に期待するほか、公共投資活発化の一方で減税も進めると言っていることから、財政を心配するむきが長期金利上昇を予想したため、日米金利差に着目してドルを買う。

月末にかけては、9月に大筋合意していたOPECの生産調整は最終的にはもめるだろうと思われていた30日のOPEC総会で、減産合意してしまったため、新興国の経済回復に期待してリスク回避が後退し、ドル買いの材料となって、結局114円台半ばで月を越えました。

 

【ユーロ】

11月はユーロ安一辺倒でした。

月初は1.1前後の水準で始まりましたが、その後は円と同じように動きました。米大統領選挙でトランプ優勢の報道に一時は1.13台まで買われ、その後は解釈が変わって、一気にドル高ユーロ安が進みました。

さらに、トランプ候補が勝利したことが、翌年の欧州各国での重要な選挙に対しても嫌な予感が蔓延、政局不安からユーロを嫌気する空気も広がりました。そのほか、ドラギECB総裁のテーパリング(量的金融緩和措置を徐々に縮小する)に慎重な内容の発言などもあり月末にかけて、1.05ドル台までじりじりと売られていきました。結局1.06ドル前後の水準で月末を越えています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期では、米FRBの金利引上げが確実なことと、トランプ新大統領の積極的な経済政策への期待から、日米金利差が広がり現状水準での円安ドル高は当面続くのではないかと思いますが、中長期的にはトランプ氏就任後の政策運営によるので、かなり不透明です。たしかに、減税をしながら公共投資も進めると資金調達が窮屈になって金利が上昇するというシナリオが成り立ちますし、米行経済はまだまだしっかりしているので金融政策面でも金利を引き上げやすい環境になると思います。

しかし、保護主義的な政策を採り続けるなら米国自身の経済を縮小させるのではないかとの逆の見方もあります。決して現状のドル高円安がそのまま定着するとは考えられません。

一部にはそのことを説得して保護主義的な方針を翻意させようとの動きがありますが、トランプ氏の頭の中は、中西部の旧体質経済に従事していた労働者の悲惨さで一杯です。米国経済全体の成長より優先するのではないでしょうか。現に、選挙戦時とはうって変わって温和になった彼が、TPPのことには一歩も引かない姿勢を見せています。彼を説得でき、世界経済は再び元の価値枠組みに戻ると考えるのはいささか視野が狭いような気がします。

原油価格の動向にも注意しておく必要があります。11/30の減産合意は来年1月から半年の期限で、その後も継続できるかは次回のOPEC総会(四半期毎に開催)によります。

 

ユーロドル ・・・

トランプ氏が大統領選に勝利したことで、ユーロの体制にも黄色信号がともったような気がします。以前も書いたように、英国の選択は、結局は正解だったんだと見られるようになるかもしれません。イタリアをかわきりに続く各国の選挙の結果によっては、現在EUが進めている財政の統合などにも支障をきたすようになる可能性があります。

論点は移民の問題だけではありません。現在EUが進めている財政統合が進むと、各国の政策上の自由度が制約を受けるようになり、広がる国家間格差と貧困化していく南部へのいら立ちがますます強くなっていくのではないでしょうか。

フランスは集権的にEU統合を進めようとしたサルコジ政権に対し、もっと国民にやさしい政治をと、疲弊した中間層の支持を受けてオランド政権が誕生しましたが、そのオランド氏も台頭する孤立主義のあおりを受けて立候補を断念することになりました。この変遷がEU全体の変化を象徴しているように思います。

ユーロ圏経済はドイツが牽引する形で底堅さを維持しているものの、ドイツのおかげでEU全体の経済力が拡大しても、取り残された人々にとってはEU全体経済力などどうでもいいことです。この流れは経済学の枠組みさえ変えるような大きな流れです。トランプやルペンが居なくでも必ず他の誰かが出てくるでしょう。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. トランプ氏の就任後の政策に関する動きや発言など。

 2. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 3. FRBの年内(2016)利上げ方針を狂わせる発言や政策スタンスに関する見解など。

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. トランプ氏の就任後の政策に関する動きや発言など。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 5. 欧州各国の重要な選挙動向(イタリア、フランス、ドイツ)

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ氏の就任後の政策(現状では何とも言えない)

 2. 欧州各国の重要な選挙動向(イタリア、フランス、ドイツ)

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 7. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

 

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