« 2016年12月 | トップページ | 2017年2月 »

2017年1月

2017年1月11日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年12月末現在)

【米ドル】

12月はさらに一段円安になりました。

米大統領選挙の影響を受けて急落した円は、12月に入ってからもさらに一段進み、その後は年末にかけて多少反落して年を越しました。

月初は114円台半ばから後半で始まりました。月初の材料は恒例の米国の月次雇用統計発表ですが、12月は他に、12/4に予定されたイタリアの国民投票に注目が集まっていました。しかし、開票途中の混乱があったものの結果(レンツィの辞任を含む)の政治的な影響の大きさに比べて為替への影響は限定的でした。長期的にはユーロの運営にじわじわと影響が出ると予想するも短期的な当期材料とはならなかったようです。米雇用統計も概ね予想通りでした。

一段円安に進む要因となったのは、12/14の米FOMCです。予想通り利上げを決めた他に2017年の利上げ見通しが出され、それがさらに積極的な利上げ予測を支持したことから米ドル全面高となり、円も118円台まで売られました。その後のイエレン議長講演が安定した米雇用市場を強調したことも利上げを補強するものとなりました。

その後は例年通りクリスマスの薄商いの中117円台での小動きが続き、結局116円台で年を越しています。

 

【ユーロ】

12月はさらに一段ユーロ安になりました。

円同様、11月の米大統領選挙の影響を受けて急落したユーロは、12月に入っても米ドルの全面高を背景に、さらに一段安が進み、その後は年末にかけて多少反発しながら年を越しました。

月初の始まりは1.06台半ばでした。12/4のイタリア国民投票では開票途中の反対派優勢報道に1.05を切る勢いまで下げる場面がありましたが、1.05の抵抗線強く、逆に長期利回り上昇を受けて1.07台後半まで急反発しました。

12/8にはECB理事会が開催され、政策金利据え置きや資産買い入れ縮小など決められ緩和継続に消極的な姿勢が見えたことから1.08台まで強含む場面がありましたが、その後のドラギ総裁会見では必要に応じて緩和拡大するなどむしろその姿勢を否定するようなニュアンスが伝わったことで、1.05台まで急反落。12/14の米FOMCの影響がこれを加速させ、2003年以降の安値1.03台半ばを付けました。

その後はクリスマス前後1.04台の小動きが続き、結局その水準で年を越しました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期的にも中長期的にもトランプ新大統領の政策次第で大きくぶれるだろうというのは大方の見方です。その意味では111日の初の記者会見、120日就任日の演説内容等見守らなければならないところですが、その時に表明したことが、その後の政策にどれほど活かされるのかという実現性そのものについても不確実なのだから、どうしようもありません。

ただ、トランプの政策がその思いのまま実現したと仮定した場合の市場への相場決定理論的な市場へのプレッシャー方向ということでは中長期的にはある程度予測可能です。

トランプ氏の政策は、公共投資と減税、反グローバル的保護政策の2つにざっくりと特徴づけられています。

公共投資と減税はカンフル剤として経済を活性化させ、短中期的には金利引上げをサポートするからドル高方向でしょう。しかし長期的には財政を圧迫して長続きしないと考えられます。米に還流した資金は再び新興国に流れてドル安要因になるかもしれません。

反グローバル的保護政策は貿易の縮小につながりますが、輸入関税などにより貿易収支は改善する可能性がありますから、ドル高圧力もかからないわけではありません。しかし、マクロ経済を停滞させる影響が大きく、経済への信頼性から保蔵通貨としてのドルの信頼性を失い、ドル安圧力の方が勝ると考えられます。

以上から、短期にはドル高となる場面があっても中長期的にはドルが売られる傾向になるではないかと思います。

 

ユーロドル ・・・

短中期的には、上に書いたトランプ氏の政策によって占うしかありませんが、ユーロ独自の要因についてもみておくべきでしょう。

トランプ氏の当選によって、反グローバル的な動きがますます活発になってきました。この動きは一部のポピュリストに扇動された感情的なものだとの言い方があちこちでなされていますが、私は必ずしもそうではないと感じています。マクロ経済や国としての経済力の強さを犠牲にしてでも個人の豊かさや拠り所を大切にしたいということの表れではないでしょうか。

もちろん不幸な大衆の不満がとうとう爆発したのだとの見方もあります。しかし、その一方で冷静に自立した個人が経済合理性とは別の価値観に目覚めたのだという面もあります。経済学は一体いままで何をしてきたのでしょうか。とくにローザンヌ学派やシカゴ学派です。トマ・ピケティ氏の論文には異論も多いように見受けられますが、それは経済学の枠組み内からの批判です。世の中にはこれと似た路線を、経済学の枠外から人類史を見直そうという動きもあります。反グローバル派は単に貧困層の不満や感情論だけではないのです。

そんな動きはユーロを根本から揺るがそうとしています。個人や小集団が自立して自己アイデンティティを守りつつ、まわりと協調していこうという動きです。ユーロは、協調は強調しますが、その上に統一通貨や統一財務でこれを固定して束縛しようとしています。それが自立性や自己アイデンティティを許容せず、まっこうからクラッシュします。

超長期的には、ユーロ通貨は難しいと思います。

 

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. トランプ氏の就任前発の記者会見(日本時間2017/1/12未明):就任後の政策を占うものとして。

 2. トランプ氏米大統領就任時(2017/1/20)の演説内容:その後の政策の相場への影響を占う。

 3. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. トランプ氏米大統領就任時(2017/1/20)の演説内容:その後の政策の相場への影響を占う。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ氏の就任後の政策(現状では何とも言えない)

 2. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 7. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年12月 | トップページ | 2017年2月 »