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2017年2月

2017年2月 3日 (金)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年1月末現在)

【米ドル】・・・対円

1月は上下しましたが、ドル底堅く推移しました。

昨年11月、12月とドルが急上昇した後の1月は、引き続く上昇圧力と一部の円買い戻しの動きが交錯して上下しました。

月初117年前後で始まった後、ぱっとしない米雇用関連統計を受けて115円台まで弱含む場面もありましたが、上旬は概ね高水準で推移していました。

変化が顕れたのはやはりトランプ氏の就任前初の記者会見です。11日に行われたこの会見では、それまで積極的な経済政策に期待して円のショートポジションを膨らませていた投機筋が、保護貿易的方針が濃かった会見内容に嫌気してポジション調整(ドル売り円買い戻し)に動きました。その後も中旬には当月最安値の112円台半ばまで弱含んだのです。

しかし、相場の動きは度々のドル急落の後は再びじりじりと買われて高水準を取り戻すなど、ドルの底堅さが目立ちました。底堅い理由は、中期的な金利動向でしょう。もともとFRBは今年2~3回の利上げを目論んでいますし、それにトランプ新大統領の政策ドライブもかかって日米金融政策スタンスがさらに開くと予想する人々がドルを買っているようです。

月末も中東等7ヶ国からの入国を制限する突然の大統領令に、リスク回避の動きが広がって再び112円台に弱含みましたが、すぐにじりじりと戻しています。結局113円前後で1月末を越えました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

1月はじりじりと買われました。

11月のトランプ氏当選時の1.11台から12月末の1.03台まで大きく値を下げたユーロは月初1.04台半ばで始まりました。その後、前月までの動きを受けて、2003年来の安値(1.03台半ば)まで弱含む場面もありましたが、トランプ氏の大統領就任前初の記者会見での保護主義的発言などからじりじりと値を上げました。

値を上げた理由は他にもあります。たとえば、ユーロ圏経済のファンダメンタルズです。1月のユーロ圏PMI景況指数は数年ぶりの高い水準となったほか、貿易収支も改善基調が続いており、ドイツが牽引する形で経済の回復が目に見えてきました。経済が良くなると通貨も信頼を得て強くなります。通貨の保蔵機能への信頼から人々は資産をユーロで保有しようとするからユーロが買われるというわけです。

結局、小幅上下を繰り返しながら、月初の1.04台より0.03だけ上昇し、1.07台の前半で月末を越えました。

 

 

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

トランプ新大統領の閣僚承認は大幅に遅れ、ティラーソン新国務長官がようやく昨日(2/1)承認されました。それでも既に承認されているマティス国防長官とジョン・ケリー国土安全保障長官を含めてわずか3人です。この間、次々と発布される物議をかもす大統領令に関与していたのは、どうやらバノン主席戦略官ら側近だというではりませんか(2/1付け日経朝刊)。まだまだトランプ政権の動向は測ることができません。

そんな中、米国経済は堅調で、今後もトランプ新政権が多くの期待どおり公共投資などの積極的な経済政策をとり、米FRBの利上げを政策面から後押しすることが予想されます。これに対して日銀は当初目標の長期化を認めつつも緩和スタンスは変わっていません。両者から当面はドル堅調地合いが続くと見るのが自然でしょう。

ただ、トランプ政権の経済政策には先月も書いたように長続きせず、中長期的にはドル売り圧力に変わる可能性があります。また、シカゴ投機筋の円売りポジションは安倍政権誕生後の円下落時と同水準まで積み上がっていますので、巻き戻すリスクがあります。さらに、先月末からしきりに強調する貿易不均衡を論拠とする円安誘導批判もドル安円高リスクとして考慮しておかなければならないでしょう(貿易赤字は米経済が好調な証拠でもあるんですけどね)。

ただ、その場合の水準はとなるとなかなか言えません。私が独自に計算した購買力平価は現在の水準より10円は円高なんですが・・・。

 

ユーロドル ・・・

トランプ政権の動きがユーロドルにも大きく影響すると考えられますが、現状では予測困難です。

他の材料を探すなら、ユーロ圏経済の回復基調が今後も続くか否か、原油価格上昇でインフレ傾向が明確になるか否か、それらを受けて欧州中央銀行(ECB)が金融緩和政策を縮小するか否かなどの数点です。

経済動向については上にも書いた通り、ドイツが牽引役となって堅調に推移しています。原油価格上昇は今後のOPEC各国の協調性にかかっていますが、対トランプで一体化する可能性もあって当面は変わらないと思います。原油価格上昇によるインフレは日本にも物価上昇効果をもたらすと考えられますが、国内経済を考慮すると日銀のデフレ脱却意思はユーロのそれよりも硬く、円に対してよりユーロに対する影響の方が大きいと考えられます。すなわち、この点だけに限って言えば円よりユーロが対米ドル高圧力強い。

したがって、ECBのスタンスはドラギ総裁が会見でしきりに否定しているのに反して緩和縮小(テーバリング)開始は早いと思います。以上から、短中期ではユーロは堅調に推移するのではないでしょうか。超長期的には従来から書いてきた通り、とかわらずユーロ不安がまだあります。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 3. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ氏の就任後の政策(現状では何とも言えない)

 2. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 7. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

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