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2017年3月

2017年3月 4日 (土)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年2月末現在)

【米ドル】・・・対円

2月は、小幅上下しました。

グラフ(日銀長期時系列データから作成)では、上旬はドル安円高に動き、中旬はドルピークを迎えて山なり、下旬は月末にかけてドル上昇に転じる動きとなっています。上旬、中旬、下旬に分けて順にみていくと・・

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上旬

1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを見送りました。これは市場の予想通りでしたが、声明では景気の上ブレ可能性に触れたものの、明確にそれを利上げに反映していく姿勢が読み取れず、ドルの押し上げ力は強まりません。その後3日に発表された米国雇用統計はあまりぱっとせず、利上げ期待が後退するなかで、112を割る水準までドル安円高となりました。

中旬

米利上げに関しては、14日、FRBイエレン議長が議会証言で今年前半の利上げに言及、3月中旬の実施も排除しなかったため一転して市場の利上げ期待が高まりました。実際、米小売売上高などの指標も市場予想を上回る好結果だったのです。また、10の日米首脳会談も先行き不安を解消する効果があったことから、115円寸前までドルが買われて、山なりの形となりました。

下旬

利上げ観測については、22日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によっても裏付けられ、この時の相場は113円を切るまでドル売りが進んでいた相場をふたたび113円台後半に押し上げました。その後はトランプ大統領の政策期待への熱も徐々にさめて、じりじりと下げましたが、月末イベントで変わりました。注目されていた28日のトランプ大統領の演説は結構評判がよく、同日にFRB関係者が相次ぎ利上げに言及したことから、ピョンと上向く予兆を見せて月末を越えまたのです。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

2月は下げました。

グラフは、なにもいいところがありません。月初は1.08程度で始まり、その後は一貫してユーロ安が進行したよ見えます。

 

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1月の中旬に2003年来の安値1.03台半ばを付けてからのこのそうば展開ですから、1月下旬に安値から脱して上昇していたものが2月に入って再び弱含んだという流れです。この推移の中には、ドル円で見たような米FRB金融政策にがらみの影響がユーロドルにも顕れている事が分かります。たとえば、月初の底堅さはFOMC結果を受けた利上げ期待減退や雇用統計の影響、中旬のかけてのユーロ安はやはり米FRBイエレン議長の議会証言による利上げ期待高揚などです。

しかし、最近ユーロを動かしているのは政治材料です。オランダ下院選は315日、フランス大統領選は45月(4/23:第1回投票、5/4:決選投票)、秋にはドイツの総選挙を控えており、いずれも右派が台頭している中で、将来へ不安が経済にも影を落としている格好です。経済は将来の見通しが効かないと投資意欲も減退します。政治がファンダメンタルズに悪い影響を与えているのです。

しかし、実体経済はどうかというと、悪いわけではありません。ユーロ圏の2月のPMI景況感指数は引き続き良好な結果を示しているほか、近時のユーロ安の効果によって貿易収支も良好だからです。特にドイツは好調です。

指標に顕れる実体経済もファンダメンタルズですから、政治の影響を受けるファンダメンタルズと実体経済が示すファンダメンタルズがせめぎ合っている感じです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

228日のトランプ大統領演説はけんかしていたメディアも最も大統領らしい演説であったと褒める等、とても良い出来だったようです。従来のトゲを隠し、次第に周囲の意見に耳を傾けつつあるのかなといった安堵と、その中でも勢いのある、日本の通常予算規模をも大きく上回る公共投資を市場が好感して、株は活況を呈し、米ドルも買われました。

これに利上げ観測も加わって、当面ドルは強含むとの見方が大勢です。

利上げに関しては、31415日に開催される米FOMCに注意。利上げが実施されるとの見方が強く、これに向けてドルが買われていくと予想しますが、一転して裏切られると衝撃が小さくありません。

その後も、次回の利上げ見通しや利上げを占う経済指標、トランプ大統領の政策がらみ発言などに反応して短いサイクルで上下するのではないでしょうか。そんなことが一巡した後は、保護政策の長期的影響など政策の陰の部分が顕れて徐々にドルの勢いは収まると見る向きが多いようです。

為替相場は長期的には理論に従うと思います。少し前に、企業物価指数を使って試算した2013年の購買力平価は104でした。その後の物価指数はあまり変わりませんから、いまでもこの水準であろうと思います。下のグラフは、日銀の長期時系列データから独自に計算してプロットしたものですので、参考にしてください。

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ユーロドル ・・・

実体経済が示すファンダメンタルズはいいのに、政治の影響によるファンダメンタルズは不安定という状況は、話題になっている選挙が片付いていくまで続くと思われますから、当面はユーロが実体経済を反映しにくい、上値が重たい状況は変わりません。

米利上げ観測やトランプ政策の囃したてている間もユーロは売られると思います。その水準は1.051.15辺り。その後、どちらの方向に向かって抜けるかは、米大統領選挙がそうであったように、やはり選挙の結果に左右されるでしょう。長期予想はユーロ通貨そのものの行方を予想することと同義ですから、そこは政治の影響をおおいに受けるところです。

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【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. 米FOMCの金融政策決定内容:2017.3/1415、利上げ実施ではドル高。

 3. 2017/3月中旬のオランダ上院選の結果:EU離れをす進めるものなのかに注目

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 4. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 5. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 6. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 7. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

 

 

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