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2017年4月 4日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年3月末現在)

【米ドル】・・・対円

3月は円高傾向でした。

2月に引き続いて、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げに関する動向が相場を上下させ、結局月間のトレンドで見ると、115円前後の水準から111円前後の水準にドルが売られて円が強含んだという流れとなりました。115円前後の水準を支えたのは利上げ環境が整っていることを裏付ける米経済市場と、実際の利上げです。

毎月初に発表される米ISM製造業景気指数は良好でしたし、やはり恒例の米雇用統計では失業率低下や賃金上昇が確認され、いずれも米経済が順調に回復していることを示し、過熱を牽制する必要が出てきたのです。NY連銀総裁をはじめとする米FRB高官の、3月利上げを支持する発言も前月末から続いていました。そして、実際に3/1415の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.751.00%への利上げが決定されました。

しかし、市場では、実際に利上げが発表されるとその材料はすぐに剥げてしまいます。次の材料が気になってしょうがない。次の材料は、今後の利上げペースです。今年3回か、それとも4回か、それが問題です。

FOMCでは出席者による政策金利(Federal Fund Rate)の予想も注目されます。それが高ければ多くの利上げが必要ですし、低ければ少ない回数でもその水準に十分達することが出来るという具合にみます。で、今回はどうやら3回に分がありそうです。市場はすぐにドル売りに出ました。下旬にかけてじりじりと値(ドル)を下げ110円を切りそうな水準まで円が買われました。

これにはトランプ大統領も一役かています。3/23の日経新聞WEB版によると、オバマケアの代替案を巡って調整が難航し(その後、実際に撤回した)、遅れることによって他の刺激策も遅れ、積極策を掲げる大統領の思惑通りに進まなくなると見た市場がリスク回避の円買いに動いているとのこと。世間でも、トランプ相場が一巡したのではないかとの見方が広がっています。

結局、111円台半ばで4月に入っています。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

3月はユーロ高傾向でした。

ユーロも対米ドルで強含みました。3月は米国の金融政策スタンスが相場を動かしたと言えそうです。そのため、米ドル以外の通貨は概ね同じような動きを示したのでしょう。

ただ、ユーロ固有の材料もありました。ユーロ圏経済の堅調さを背景にした金融政策スタンスの変化とオランダ下院選挙です。

ユーロ圏経済は結構堅調に推移しています。3月のPMI(Purchasing Managers' Index:企業購買担当者の景気動向判断指数)は、ドイツをはじめとする主要国で判断の分かれ目となる50を大きく上回る結果となりました。特にユーロ圏全体のPMI2011年以降の好結果だったようです。これを受けて、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和措置もそろそろ出口に差し掛かっているとの見方が市場に広がっています。米国の利上げペースが落ちて、ユーロの緩和策が卒業すると金利差から、当然ユーロが買われます。

選挙も相場に影響しています。今年は欧州の選挙の年です。各国で極右を中心とする反ユーロ勢力が伸びており、これに対する懸念がユーロ通貨への不安にもなっています。右翼へ傾くとユーロ安、保守が頑張ればユーロ圏経済の好調もあってユーロ高というのがシナリオです。既に昨年末、イタリア国民投票とオーストリアが終わり、イタリアでは改憲案否決されて反ユーロ勢力が評価されましたが、オーストリアでは反ユーロ勢力が予想ほど伸びませんでした。これに続いて3月には15日にオランダ下院の投開票が行われ、極右「自由党」が事前予想ほど伸びませんでしたので、次第にユーロへの負担が払拭されつつあるというのが見方です。

相場の流れとしては月初の安値1.05台前半から下旬には1.08台半ばまでユーロが買われた後、1.06台半ばで月末を越えています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

4月は米FOMCが開催されません。短期的には利上げペースを占う米経済指標がドル円相場を左右すると思います。中長期的には、トランプ大統領の積極政策の進捗遅れが深刻です。大統領選挙以来の相場押し上げに積極政策が大きく作用しただけに、その期待が少しでも裏切られるようなことになれば、相場への影響はとても大きいでしょう。トランプ大統領の公約のブレは特に外交面に表れています。経済政策は国内マターですから外交のような壁は少ないかも知れません。それでも、懸念材料としては小さくありません。

どう影響するかというと、それはドル売り円買いです。

利上げは景気過熱を抑制するものですから、積極政策が遅れることになれば、景気の過熱への心配も遠のきます。利上げの必要がなくなれば、金利から米ドルが売られるわけです。3月後半の動きがそうでした。

もちろん、金利差による相場変動は短中期的なものですから、長期の方向は実需に基づいて判断しなければなりません。

 

ユーロドル ・・・

引き続き2つの材料に注目しましょう。

1つは、ユーロ圏経済の動向とそれを背景に変化する欧州中央銀行(ECB)の金融政策スタンスです。金融政策はインフレとデフレのバランスで決定されます。ユーロ圏の経済が好調で、いくらPMIや工業生産が良くても通貨供給量が見合って、物価が変わらなければ金融政策スタンスを変更する理由はありませんから、物価指数も重要な指標です。

もうひとつは、選挙です。イタリア、オーストリアと済ませたところで不安定化要因は一定程度弱まりつつありますが、45月の仏大統領選挙と秋のドイツ総選挙は注意しておかなければなりません。相場による影響の形は、上に述べた通りですので繰り返しませんが、この選挙は短中期だけでなく、場合によっては超長期の変動にも影響があります。反ユーロ勢力によってはユーロ体制そのものの崩壊がないとは言い切れませんから。フランスのエマニュエル・トッド氏の指摘はいちがいに荒唐無稽とは言えません。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. 仏大統領選(第1回投票2017/4):極右勢力が伸ばすと、ユーロ圏不安定化を懸念してユーロ売り

 3. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 4. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 4. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)、その後の延長の行方:価格軟化は資源国経済に悪影響し、リスク回避の円買い

 5. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)):極右勢力伸ばすならユーロ売り

 6. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 7. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

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