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2017年5月

2017年5月 3日 (水)

:外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年4月末現在)

【米ドル】・・・対円

4月は行って来いの相場展開でした。

「始め」から一方法に動き、結局元の水準に戻ってくることを、業界では「行って来いの相場」と言います。始め、つまり月初の水準は111円台前半でした。その後、円高方向に向かい、108円台前半から反転し、また元の水準111円台半ばまで戻ってきたのです。

円高に向かった原因は、下記3つでいずれも経済的要因ではありません。

 米軍によるシリア空爆(4/7

 トランプ大統領の円安牽制発言(4/12

 北朝鮮の弾道ミサイル発射実験(4/16

①と③は所謂地政学リスクです。リスク回避先の円買いが活発になった結果108円台前半まで円高が進みました。上記3つのうち、一番円高に進めたのは③の北朝鮮です。それにしても不思議ですね。北朝鮮問題は日本も当事者です。下手すると核戦争に巻き込まれて日本経済が破綻するかもしれないのに、何故円がリスク回避先になるのでしょうか。ちょっとわかりません。

反転は、仏大統領選挙です。ユーロ離脱派の2人による決選投票が避けられたことで、安堵感が広がったことによるリスク回避の巻き戻しと、米国経済の好指標が発表されたことによる米金利利上げ期待が、再び円を111円台まで戻しました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

4月は安堵のユーロ買いが出ました。

ユーロは201612月の安値1.04台前半か徐々に買われてきました。ユーロ圏経済の底堅さが買い動機となっています。一方、ユーロ離脱派が台頭するのでないかとの心配が選挙のたびに頭をもたげ、それがユーロ買いの足を引っ張っています。

4月もその延長線上にありました。

月初1.06台半ばで始まり、しばらくは膠着状態が続いていましたが、4/23の仏大統領選挙の結果がユーロ買いを促しました。大統領選は、はじめルペン氏とマクロン氏の決選投票とみられていましたが、直前になって左派だがユーロ離脱を訴えるメランション氏が突如顕れて支持を伸ばしたことから、あわや離脱派同士の決戦となって将来はユーロ崩壊かというところでしたが、結果はユーロ強調派マクロン氏がルペン氏に一定の差をつけて支持を維持しました。まだ決選投票がありますが、市場は安堵したというわけです。月末は1.09の水準でした。

 

 

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

4月に発表された米雇用統計は、就業者伸び急減したものの、失業率4.5%まで改善し、完全雇用とみる水準を下回っています。FRBのイエレン議長も講演でこの点を指摘、利上げを長く待ち過ぎたくはないと述べ、公表されたFOMC議事録にも参加者が景気過熱感を懸念している内容が明らかになりました。6月には利上げをするというのが市場の見方です。利上げはドル高円安です。

一方、トランプ大統領の円安牽制圧力も強くなっています。417日日経新聞WEB版によると、実効レートで見た円はここ2週間でもっとも上昇した通貨とされる、一方米財務省報告は、歴史的平均値からまだ20%も割安だとしています。

試しに日銀の長期時系列データから相場推移をグラフにしてみました。どうやら、80円の水準は例が位置として排除するとしても、円高に進んだのは極短期で、長期的にはそうでもなさそうです。tだ、実質実効レートは超長期傾向としては右下がりに見えますね。

170502

170502_2

 

 

4月は米FOMCが開催されません。短期的には利上げペースを占う米経済指標がドル円相場を左右すると思います。中長期的には、トランプ大統領の積極政策の進捗遅れが深刻です。大統領選挙以来の相場押し上げに積極政策が大きく作用しただけに、その期待が少しでも裏切られるようなことになれば、相場への影響はとても大きいでしょう。トランプ大統領の公約のブレは特に外交面に表れています。経済政策は国内マターですから外交のような壁は少ないかも知れません。それでも、懸念材料としては小さくありません。

どう影響するかというと、それはドル売り円買いです。

利上げは景気過熱を抑制するものですから、積極政策が遅れることになれば、景気の過熱への心配も遠のきます。利上げの必要がなくなれば、金利から米ドルが売られるわけです。3月後半の動きがそうでした。

もちろん、金利差による相場変動は短中期的なものですから、長期の方向は実需に基づいて判断しなければなりません。

 

ユーロドル ・・・

ユーロ圏のファンダメンタルズは底堅く、ECBの金融政策スタンスもそろそろ出口を探し始めています。米国の利上げと方向が同じですから、これまでのように、米国の引き締め、ユーロの緩和という違いが際立つ状況からは脱しつつあります。

先月のECB理事会では、金融政策の変更はしなかったものの、ドラギ総裁が会見で「下ぶれいリスクは後退した」と述べた他、日経新聞によれば6月の会合では緩和出口に向けた言い回しも検討されているとのこと。これらを受けて、ユーロ通貨は少しずつ買われていくというのが市場の大方の見方のようです。

ただ、以上は中期予想。ユーロの行く末は政治が握っていますので、長期~超長期的には政治材料に引き続き注意しておく必要があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 北朝鮮情勢やシリア情勢:緊張高まれば、リスク回避先として円買い

 2. 仏大統領選(決選投票):ユーロ協調派マクロン氏か離脱派ルペン氏か

 3. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 4. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)、その後の延長の行方:価格軟化は資源国経済に悪影響し、リスク回避の円買い

 5. 欧州各国の重要な選挙動向(5月フランス大統領決選投票、秋ドイツ総選挙):極右勢力伸ばすならユーロ売り

 6. 中国はじめ新興国の経済動向 :一時の不調を達して堅調、ただし米金利動向や資源価格に左右されよくぶれる

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 欧州各国の重要な選挙動向(45月フランス大統領、秋ドイツ総選挙)

 3. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)

 4. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 英離脱後のEU各国への影響(2017年、主要国の重要選挙予定されている)

 7. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

 

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