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2017年6月

2017年6月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年5月末現在)

【米ドル】・・・対円

5月は小動きでした。

政治リスクから、108円台前半まで円が買われた前月とは異なり、一部を除いて、それらのリスクが和らいだ、或いは意識から離れた今月は、少し円安に振れました。

Ø 米軍によるシリア空爆(4/7) → 意識から離れた

Ø トランプ大統領の円安牽制発言(4/12) → 熱が冷めた

Ø 北朝鮮の弾道ミサイル発射実験(4/16) → 緊張続いているが、少し慣れた

米金利の利上げ期待もドル買い材料となり、上旬には114円台半ばまでドルが強含みました。利上げ判断の重要な指標である雇用統計では、失業率が4.4%まで低下し、非農業部門の雇用者も21.1万人増えました。利上げには十分と言えそうです。

しかし、その後はドルが売られ、15日前後には110円台後半をつけました。トランプ大統領へのロシアを巡る疑惑から弾劾の可能性もささやかれて再びリスクOFFの動きを呼び戻したのです。後は111円を挟む小動きが続き、結局110円台後半で月を越えています。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

5月は一段買われました。

1月を底に、米ドルに対して再評価されてきたユーロは、5月も一段買われました。昨年の英国の国民投票によるEU離脱選択以降、各国でEU離れが進むのではないかと懸念され、選挙の年となった今年は、重要な選挙の都度心配のネタが広がっていましたが、オランダ、フランス・・・とひとつひとつ潰してきました。そのたびに安堵感が広がり、ユーロが評価されてきたのです。

月間の安値は、月初に近い上旬の1.08台半ば、高値は下旬の1.12台半ばでした。

上旬の安値は、フランス大統領決選投票などの材料出尽くし感によるものです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期では、まず今月の利上げ実施を確認しておきましょう。市場では9割方利上げが実施されると見込んでいます。524日に発表されたFOMC議事録でも、「経済指標が想定通りなら、間もなく追加の利上げが適切になると指摘され、6月中旬(1314日)の次回会合で利上可能性がしめされました(525日付け日経朝刊)。先に見た通り、重要な経済指標である労働統計も良好です。ただ、中には物価動向が弱いことを指摘する向きもあります(図表参照、Index 1982-1984=100, Seasonally Adjusted)。

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米国が利上げすると、日米金利差からドルが買われると見てはいけません。市場は既に織り込み済みで、これを材料にして十分買い進んでいますから、発表されればドル売りに転じます。

その後は、早速次の利上げ予想に移るのですが、それが多少やっかいなようです。引き続きFOMC議事録を注視し、指標と併せてみていく必要があります。

もうひとつ、懸念事項があります。先日公表された米国の予算案は、減税など積極的に財政を出動させる姿勢を打ち出したものの、その財源として中間層への分配を後退させるという内容でした。

昨年11月の大統領選挙の前評判ではトランプが勝てばリスクOFFから円高ドル安、クリントンが勝てば安堵感から円安とみられていた事を思い出してください。それが予想に反してトランプが買ったにも関わらずドルが大きく買われ、その後もずっと堅調に推移してきたのは、トランプの積極的な経済政策が奏功するだろうとの予想が勝ったからです。

それなのに、トランプの主な支持基盤であった中間層に苦痛を強いるのは、支持者への裏切り行為ともみられ、このままスムーズに進むとは考えにくいのです。積極策が進まなければドルを買ってきた根拠を失いますから、再びドル安円高に向かうという心配があります。

 

ユーロドル ・・・

先月29日、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は、緩和方針を変更する理由はないってなことを話、それまでのユーロ評価の動きに水をさしました。しかし、欧州経済は堅調に推移しています。ECBの金融緩和策の縮小判断の基準で重要しされているのが物価指数ですが、これも徐々に上昇しています。

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このところ、市場や分析者が緩和縮小の条件は整いつつあると言っても、その都度ドラギ相殺が打ち消す発言をしてきましたが、実際にユーロは評価されつつあると感じます。心配していた選挙もひとつひとつ潰れ、残るはドイツの総選挙ですが、これはメルケル首相への支持が安定していて、フランスやオランダのようにEU離脱派が大きく勢力を伸ばす心配はなさそうです。

しばらくはドルに対して底堅い動きを続けるものと思われます。

 

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの利上げ:実施は織り込み済み発表後に材料剥げ落ちのドル売り円買い

 2. 北朝鮮情勢やシリア情勢:緊張高まれば、リスク回避先として円買い

 3. トランプ大統領のロシア疑惑の行方:弾劾など不安定になればリスク回避の円高

 4. 仏議会選挙:マクロン政権の安定を占うものとして注目

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 6. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. トランプ新政権の経済政策。積極策は金利引上げにも通じ、ドル高につながる。

 2. 英のEU離脱交渉の行方

 3. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 4. 原油価格の動向とOPECの動き(2016/11/30の合意は2017/1から期間半年)、その後の延長の行方:価格軟化は資源国経済に悪影響し、リスク回避の円買い

 5. 欧州各国の重要な選挙動向(10月、ドイツ総選挙のほか、仏議会選挙、英議会選挙など)

 6. 中国はじめ新興国の経済動向 :一時の不調を達して堅調、ただし米金利動向や資源価格に左右されよくぶれる

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 欧州各国選挙結果の新政権のEU統合強化策の行方(財政、金融)

 3. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

 

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