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2017年11月

2017年11月 1日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年10月末現在)

【米ドル】・・・対円

10月も円安に振れました。

9月のような勢いは見られなかったものの、引き続き円が米ドルに対して売られました。但し、9月の円安材料は少し色あせ、ふらふらと迷っているようにも見えます。

9月のドル高円安材料は・・・

Ÿ FOMCで年内の利上げにまで踏み込んだ発言があったこと(日米金利差拡大予想によるドル買い円売り)

Ÿ 衆議院選挙で、消費税の使途変更や凍結が公約に挙げられ、財政再建が遠のくとの見方から円への信頼が少し揺らいだ

などでした。特に、利上げに関しては、FRBのイエレン議長の後任に利上げに積極的なテイラー氏が有力であるとの予想も、将来に向けた日米金利差拡大を予感させ、それを見越した円売りが加速しました。

10月は112円台半ばで始まり、前半の冴えない米国経済指標を受けて111円台半ばまで緩む場面があった後は、じりじりとドルが買われ、一時114円台半ばまで上昇(円安)しました。

しかし、月末にかけては弱含み、結局113円台半ばまで月を越えています。上記9月の材料に関しては・・・

Ÿ 米利上げ観測 :イエレン議長後任として緩和策に理解を示しているパウエル氏がテイラー氏より有力しされるように少し状況が変化したこと

Ÿ 衆議院選挙は、結局自公の勝利に終わり、財政再建への不安は残るものの、野党が主張する引き上げ凍結などの芽はなくなったこと

で、色あせてドル買いの勢いはさほど大きくならなかったと言えそうです。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

10月も下がりました。

ただし、それは下旬に入ってからです。上旬中旬では1.17から1.18半ばの間を往ったり来たりする動きでした。

9月のユーロも円同様、米FRBの予想外の利上げ言及にあおられて下落しました。また、独選挙結果などもこれに拍車をかけ、米ドルに対して売られた構造は円と良く似ていました。

この2つの材料が10月にどうなったかというと、まず、米利上げの材料が相場に織り込まれて色あせた点は円と同じです。しかし、他方の政治材料については、カタルーニャの独立騒ぎがあってさらに€売りの材料となった点が円と異なる展開となりました。

さらに、1026日のECB理事会とその後のドラギ総裁発言も€売り材料となりました。

理事会では資産買い入れの縮小を決定してテーパリング開始が明らかになりました。これは事前予想通りでしたが、ドラギ総裁の記者会見では、買入縮小するからといって緩和を止めるわけではなく、買入終了時期を201712月から20189月に延期したうえで、その後も緩和を続けることを匂わせる発言があったのです。この結果、€は1.160近辺まで下落し、1.16台半ばで月末を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期では、米国の利上げが材料です。これが年内にあるか、年内にあるという動きがさらに出てくるかで115年をうかがうドル買い円売りがおこるかもしれません。その後は、FRBイエレン議長後任が利上げに積極的なテイラー氏になるかに注目が集まっています。FRB議長の後任は長期的な米国金融政策スタンスにも影響があるはずですから、この後任選びは相場の中長期動向を占うことにもなるでしょう。

一方で、米経済指標や物価動向はいまだに安易な利上げを許さない状況にあります。根中で利上げを続けると、新興国を含む世界から資金が米国に還流する速度が速まると、世界経済が減速し、出口を出た緩和トンネルに再び入っていくことも考えられます。

対する日本は、一向に緩和出口の話は出てきません。このまま出口を模索することなく、再び米国が緩和トンネルに入るなら、円は大きく買われることになるでしょう。

 

ユーロドル ・・・

ユーロを支える経済的な材料は豊富です。10月のユーロ圏経済景況指数は17年ぶりの高水準になったようですし、失業率も改善が続いています。経常黒字も相当に積み上がり、中長期的なユーロ高材料を形作っています。

しかし、政治的材料はネガティブです。政治は経済も破壊する可能性がありますから、いくら経済ファンダメンタルズが良くても政治要因であっという間にひっくり返ってしまいます。

短期的にはカタルーニャ独立騒ぎですが、長期的には、その動きがイタリア北部、ベルギーのフランドル地方、ユーロ通貨には関係ありませんが、イギリスのスコットランドと地域の政治不安定が大きく揺らぐ可能性があります。先月も書いたように、各国とも現政権を維持することには成功したものの、この1年、反移民や極右勢力が大きく勢力を広げたことも根っこは同じです。

ユーロを占う中長期的材料としてきた、銀行行政の統合や財政の統合の行方など、これら政治の動きの前にはひとたまりもありません。ユーロに関しては、ECBの金融緩和などの政策スタンスや経済指標より、これらの政治的な材料にしばらく注目していく必要がありそうです。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 3. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動の動向ユーロ圏不安からユーロ売り要因

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. トランプ大統領のロシア疑惑の行方:弾劾など不安定になればリスク回避の円高

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 5. FRB議長の後任指名の動き(利上げに積極的なテイラー氏か緩和に理解示すパウエル氏か)

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 7. ユーロ圏移民政策の将来の影響 :移民二世の不満などがユーロ社会を不安定にさせるならユーロ通貨の信用力に影響。

 

 

以  上

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