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2017年12月 4日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年11月末現在)

【米ドル】・・・対円

11月は円安一服しました。

9月、10月とドルが買われて円安に振れましたが、11月は前半にその勢いを保ったものの、後半では挫かれたようです。

前半にドルが買われた背景には、米金融当局の政策協議FOMCで年内の追加利上げが示唆されていることです。一方の日銀がさらに金融緩和を継続する意思を示していることから、日米金利差が広がってドルが買われて円安が進んだのです。年初の円安水準にまでは届きませんが、115円に迫る水準まで進みました。月初3日に発表された米10月雇用統計では、非農業部門雇用者数が26.1万人増と市場予想を下回る水準でしたが、コンスタントに増えているほか、失業率は予想を上回る4.1%まで下がったことなども利上げ環境に問題がないことを示しています。

ただ、一部には利上げペースが速いと逆に材料が早く剥げ落ち、逆にその先の警戒感からドル売り(円買い戻し)に走るむきもあるようです。理屈からすると、にわかには信じられませんね。しかし、現状の円安水準が投機筋の円売りポジションの積み上がりで成り立っているという面を考慮するなら、それもありかな・・・と。

IMMの為替投機筋の円売りポジションの積み上がりを「為替ドットコム」さんのグラフでみてみましょう。たしかに、直近ではここ数年で最高水準にまで積みがっています。乗り遅れないように早めのポジション調整タイミングを見極めようとする立場では、非常に神経質にならざるを得ません。2228日にかけては110円前後の水準まで円高に振れました。

ただ、これも月末にかけては戻しています。時期FRB議長に指名されたパウエル氏が利上げに慎重な発言をしたことや物価水準がおもわしくないことなどが原因として挙げられます。

171201_imm

 

【ユーロ】・・・対米ドル

11月は反転しました。

今年は9月まで一貫してユーロが上昇した背景には、政治要因がありました。選挙の年と言われた今年、ひとつひとつ選挙の結果が出るたびに極右体制への不安が解消され、どん底にあったユーロをじわじわと持ち上げてきたのです。

この間、本来もっと注目されるべき材料である欧州中央銀行ECBの金融政策スタンスの変化は話題にはなるものの、上記政治要因の前にはあまり相場を動かす力がなかったと言えるでしょう。それが、一連の選挙が終わった今、金融政策要因が相場を動かす市場に戻ってきたような印象です。

ECBは資産買い入れ縮小を決定し緩和策の出口に向かっています。その一方で物価水準が1%台に留まっていること等から、出口から引き返すような場面もあり、それがユーロ相場に反映されて往ったり来たり。

9月、10月は軟化傾向でした、再び11月は出口へ向かって動き出した感があります。

月初1.16レベルで始まり、下旬にかけて1.19前半まで伸ばした後、ほぼその水準のまま月末を越えました。

171201

 

10月も下がりました。

ただし、それは下旬に入ってからです。上旬中旬では1.17から1.18半ばの間を往ったり来たりする動きでした。

9月のユーロも円同様、米FRBの予想外の利上げ言及にあおられて下落しました。また、独選挙結果などもこれに拍車をかけ、米ドルに対して売られた構造は円と良く似ていました。

この2つの材料が10月にどうなったかというと、まず、米利上げの材料が相場に織り込まれて色あせた点は円と同じです。しかし、他方の政治材料については、カタルーニャの独立騒ぎがあってさらに€売りの材料となった点が円と異なる展開となりました。

さらに、1026日のECB理事会とその後のドラギ総裁発言も€売り材料となりました。

理事会では資産買い入れの縮小を決定してテーパリング開始が明らかになりました。これは事前予想通りでしたが、ドラギ総裁の記者会見では、買入縮小するからといって緩和を止めるわけではなく、買入終了時期を201712月から20189月に延期したうえで、その後も緩和を続けることを匂わせる発言があったのです。この結果、€は1.160近辺まで下落し、1.16台半ばで月末を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期では、米国の利上げ動向に注目します。これに関わるFOMCの動向、特に121213日に予定されているFOMCでは利上げを決めるとの強い観測が市場にあり、その通りになるかどうか。また利下げ環境として、なかなか水準維持できない物価動向等の指標にも目をやっておく必要があるでしょう。

このとき、注意しておかなければならないのは日銀のスタンスです。これまで、米利上げに対して日銀が緩和継続スタンスだったのがドル高円安の材料となってきましたが、先日の黒田総裁のスピーチはいよいよ日銀も緩和出口を模索し始めたのではないかと思わせるニュアンスだったので注目されています。投機筋の円売りポジション調整の兆しも敏感に感じ取らなければなりません。

中長期的には、そろそろ経常収支の様子も見守る必要があります。このところ日米の金融政策スタンスの差にばかり注意が集まっていましたが、その間に経常収支黒字がじわりと積み上がっています。基本的な円高要素です。

 

ユーロドル ・・・

金融政策スタンスは緩和の出口を模索している方法で決まっているものの、それを許す経済環境が整うかがひとつのポイントです。

その意味では、失業率は改善を続ける(11月は8.8%、20091月(8.7%)以来、89カ月ぶりの低水準)ほか、貿易なども堅調に推移していますが、物価水準はECBが目標としている2%近い水準になかなか達しません(11月は1.5%)。

微妙なのは、米FRBの金融政策スタンスとの相対的位置です。先に書いたようにFRBも緩和出口にありますから、両方が並行して同じ方向に同量だけ進むなら、€・ドル相場が€の対ドル相対値であることを考えると、相場変動はないということになります。

さて、注目点は政治要因にもあります。カタルーニャの独立騒ぎは、1221日に予定されている州議会選挙で一定の方向が見えそうです。両者拮抗しており予断を許しませんが、決着の仕方によってはユーロ全体の体制にも影響を及ぼしかねません。また、先の選挙でなんとか第一党を確保したドイツのメルケル首相も連立政権の組立てで苦労しており、こちらもどちらに転ぶかで、将来への影響が心配です。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 121213日のFOMC :米利上げ決定か否か

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 6. ドイツ :メルケル首相の連立政権の行方、スペインのカタルーニャ州議会選挙(2017.12.21

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 5. FRB議長の後任指名されたパウエル氏のスタンス(利上げに慎重か、積極的か)

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 7. ユーロ圏移民政策の将来の影響 :移民二世の不満などがユーロ社会を不安定にさせるならユーロ通貨の信用力に影響。

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