外国為替相場の動向と変動要因分析

2018年12月 3日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年11月末現在)

【米ドル】・・・対円

11月は112円台半ば~113円台半ばでふらふらしました。

月初、112円台半ばで始まったドル円は一旦114円近辺まで強含みました。8日の連邦公開市場委員会(FOMC)が金融政策の維持を決定し12月の利上げを示唆したこと、原油価格の下落で物価を加味した米国実質金利が今年最高の水準にまで上昇したことなどが要因です。

その後は、米中貿易戦争の激化を背景に、パプアニューギニアで開催されたAPEC首脳会議で首脳宣言の採択に至らなかったことから世界経済低迷への悲観論が広がってリスク耐性のある円の買いが増えたことや、トランプ大統領の国内利上げを非難する米FRBへの圧力などから市場に利上げ速度の鈍化を予想するむきが広がって、徐々に相場を下げ、中旬には月初の水準である112円台半ばに弱含みました。

しかし、それ以上の値動きにつながらないことから、再び113円台後半まで強含んだタイミングで、パウエル米FRB議長が講演で、利上げ打ち切りを前倒しするような発言をしたことから、再度弱含んで結局113円台前半で月末を迎えました。

注目されていた米中間選挙は結果がほぼ予想通りだったため相場への影響は限定的でした。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

11月は低水準で小幅上下しました。

月初は、1.14近辺で始まり、小幅強含んだ後じりじりと値を下げ、1.12台前半まで売られました。要因は2つあります。

まず英国のEU離脱問題です。英国は20193月のEU離脱が決まっていますが、離脱条件を巡って協議を続けていました。しかし英・EU間協議は難航し、このままでは合意秩序のないまま離脱してしまうのではないかとの懸念が広がったのです。

あとの一つはEU経済の見通しです。欧州員会は、11月8日、2020年までのEU経済の見通しを公表しました。それによりますと、2019年の実質経済成長率が1.9%と前回7月の見通しを下方修正、2020年もさらに鈍化して17%になるとの見通しです。

その後、一旦1.14台半ばまで値をもどしましたが、月末にかけては再び1.13近辺まで弱含んで終わっています。

なお、英のEU離脱交渉については、1125日、一転して合意に至りました。しかし、これによってユーロドルが回復するなどの効果は限定的でした。合意条件が移行期間中の現状環境を維持が長引いて離脱の実質骨抜きと受け取られかねない内容であったため、英国内でコンセンサスを得るのが難しく、結局無秩序離脱になるリスクは軽減されていないと市場が解釈したからです。

 

【今後の短期~長期予想】
 
ドル円 ・・・

トランプ大統領がどんな理不尽な動きを見せるかによって、ドル円相場の見通しも大きく変わり、どちらへ飛んでいくかわかりません。かりに、彼の気が変わることなく、米国国内産業を保護し、それを脅かす世界の強国に強硬な姿勢を撮り続け、国内政策の中心を経済においてこれを刺激するための政策をとり続けるなら。以下のような見通しが立てられると思います。

対外的には、関税ツールを出したり引っ込めたりしながら基本的には輸入を制限していく。政界経済は比較生産費メリットを失って減速が始まり停滞が続きます。米国内では輸入コストが高くなって、コストプッシュインフレとなりますが、世界経済が停滞するので輸出振興にはなりません。

トランプ減税はしばらく景気を刺激して物への需要は高まってコストプッシュインフレと需要インフレが短期的には共存しますが、早々に財政を圧迫します。そうなるFRBに圧力をかけて政策金利を低く抑えても、結局市場金利は高騰して設備投資は減退、インフレ下の景気停滞に陥ることになります。一般に景気低迷はデフレ要因となり、通貨は減価することからドル高安を招くはずですが、輸入価格が高止まりする間はインフレが続きますから、ドルは徐々に弱くなるでしょう。

市場金利が高騰すると短期では金利相場の理屈にしたがってドルが強くなりますが、他方で経済ファンダメンタルズが弱くなり、これは中期材料なので、ドル高は長続きせず、この面からもドル安方向に向かいます。

ここで、新興国の人口増に伴って、世界経済の物への需要が高まるなら、米国の輸出がようやく振興され、貿易収支や経常収支が改善することになってドル需要が高まり、ドル高になりますが、すでに所得収支が一定のドル価値を支えていますので、それ以上のインパクトを持つ形でのドル需要の高まりにはならないでしょう。それが長期化すると、超々長期的には米国は対外資産を取り崩しつくして米国に還流するマネー(レパトリアート)が少なくなってドルは減価の一途をたどることになります。

 

ユーロドル ・・・

今後の主な材料は、①英国のEU離脱合意の行方、②イタリアの財政問題、③中期的には見通しが利かなくなってきたEU経済にかかわるファンダメンタルズ、そしてより長期では、④EUをリードする役割を担わなければならない独と仏の政治リスクです。

英国のEU離脱は20193月までの短期的材料として捉えるほかに、長期的な影響についてもみておかなければなりません。仮に一定の秩序を以って離脱できたとして、短期的には安堵感が広がるでしょうけど、長期では、「その条件ならば」と、英国に続く加盟国が出現し、特に政策上の自由度を求める国に伝播する可能性があります。超長期的にEUを政治的に維持できなくなってくるなら通貨ユーロも信頼を失うでしょう。ここには独と仏の政治リスクも関わってきます。厳格な移民政策の主張は、国家のアイデンティティを大事にする動きです。国家のアイデンティティを大事にするなら、自国の政策上の高い自由度も要求するようになるでしょう。それは、国ごとの政策主張を調整して最大公約数に集約させていこうとするEUの方法論は異なります。体制の根本的な問題にまで発展していく可能性があります。

たた、短期ではイタリアの財政問題もEU経済成長率も、従来からそうであったように、それなりにこなしてユーロドルへの影響は限定的はないかと思われます。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの利上げ :米経済指標や政権などの基本シナリオ(2020年まで利上げ継続、3.5%まで)への影響の仕方

 2. 米中貿易摩擦 :201812G20閉幕後の米中条件付き合意事項の処理進展状況:90日以内の知財などに関する合意

 3. 英国のEU離脱合意事項の国内承認動向:20193月期限に向けた国内コンセンサス

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り):201920年の米利上げ動向により海外からの米債向け投資動向が変化する可能性あり。

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 6. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :仕上げペースが速まるなら中期でドル高だが、その後は上値重い。2019年に3回、2020年に1回もしくは0回。3%前半で仕上げが。

 2. 米国中間選挙結果(201811月:下院で民主党が過半、上院は共和党というねじれ)の中期的影響:トランプ政権の貿易方針や緩和継続スタンスの減速による影響

 3. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 4. 日銀金融政策 :2018/7会合では長期金利上下幅容認しつつ物価予想を下方修正し緩和策維持を約束(フォーワード・ガイダンス導入)

 5. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 6. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ政権の経済政策の好効果後の悪影響や反動(保護貿易によるコストプッシュインフレ、大型減税に財政圧迫)の相場への影響

 2. 好調な世界経済を背景に本邦貿易収支改善、対外直投蓄積による所得収支拡大で国際収支説から円高材料。逆に新興国からの資本逃避で景気後退して貿易収支悪化は円安材料。

 3. 独・仏政権の弱体化とEU統率力減退及び欧州各国アイデンティティ尊重思想の広がりがユーロ圏結束に及ぼす影響

 4. 英のEU無秩序離脱又は合理的離脱の行方とEU結束力への影響

 5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 6. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 

以 上

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2018年11月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年10月末現在)

【米ドル】・・・対円

10月は上下しました。

月初114円手前で始まったドル相場は、まず114円台半ばの月間最高値を付けました。米長期金利上昇への備え度合いを示す「米10年物国債の予想変動率」は2003年以降で最低を記録し、市場には相場が急変しないだろうとの安心感がありました。利上げも来年にも3%水準で打ち止めとの見方も出て、リスク選好の動きが広がったための114円台半ばでした。

しかし、その後は米長期金利が上昇して、それをきっかけに株価も大きく下落。これが日本株や世界の株にも影響して全面下落となると、逆に一気にリスクを嫌う機運が広がって、111円台まで下落しました。

しかし、市場では方向を定める材料判断に迷いが生じています。米中間選挙を控えているし、そうでなくても米国の個別経済政策間に相互矛盾があり、一帯そのうちのどれが奏功するか見極めがつかないからです。また、先月書いたように有事の円高というシナリオも効きにくくなっています。結局、月末にかけては113円台を回復して終わりました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

10月は下げました。

悪い材料ばかりが続きためです。月初は1.16台前半で始まったユーロ相場は、一旦月間最高値をつける場面がありましたが、その後はほぼ一本調子で下げ、1.13台前半で10月を超えました。

悪い材料の一つはイタリア財政です。財政悪化のイタリアに対し、EU2019年予算案の再提出を要求しましたがイタリアはこれを拒み、イタリア10年債利回りが上昇するなど、動揺しています。少しまえの南欧問題の再燃です。しかし、以前と異なり、現政権はEUへの協調性に欠け決着の見通しがつきません。

直近では体制を守ってきたメルケル首相が党首選への出馬を断念するなど、独の政治要因もあります。

また、下旬に発表されたユーロ圏のPMIが市場予想を大きく下回ったこと、非有効項目調整後の物価指数が9月で0.9%にとどまるなど、金融緩和の出口も遠のいているのではないかとの見方もあり、さらにユーロを押し下げました。

 

【今後の短期~長期予想】
 
ドル円 ・・・

ドル円相場が金融経済政策の影響・効果を受けて上下するものだとするなら、その予想が極めて困難になっているというのが現状です。日本の金融政策スタンスは変わらない一方で、米国の政策は相互に矛盾に満ちているからです。その内容は以下の通りです。

まず減税と財政出動は投資を活発化させ金利を押し上げるからドル高になる。保護貿易も貿易収支を改善させるからドル高になる。ところが、減税で投資が活発になるとそれに見合う貯蓄が不足し不足分は貿易赤字になって顕れるからこの点でドル安になる。FRBの利上げは当面ドル高をまねくが、景気を冷やして減税による景気過熱を抑えるから上記の減税効果によるドル高、投資活発化による貿易赤字増加とドル安を一定範囲で相殺する。場合によってはうまくバランスする。また大幅減税は財政を圧迫してクラウディングアウトを起こし、金利が上昇して投資が減退しドルへの信頼が下がる。つまり、ぐちゃぐちゃです。それぞれがうまくバランスすると相場は安定するかもしれませんが、それは至難の業。結局市場はこれらを見極められず、人によっては在る方向に賭けて動かそうとするので上下はするものの、方向感がない相場になっています。

中間選挙に関しては、ドル安円高に動くとの見方があるようです。下院で民主党が過半数を確保するなら、①ドル高を演出してきたトランプ政権の政策推進に支障をきたすとの見方と、②政策推進に支障をきたすと見たトランプ大統領が強硬策にでて為替条項を押し通すからという見方です。

注目のFRB出口戦略は、住宅着工係数が市場予想を大きく下回って株下落につながったことなどあり、来年には3%水準で打ち止めとなるという見方と、いやいや過熱を抑えるためには3%を超えて一定範囲まで利上げするはずだとの見方もあり、これも不透明です。結局、今はポジションを形成しないでおくというのが賢明。

 

ユーロドル ・・・

25日の欧州中央銀行の理事会では、量的緩和政策を年内で終了するとの現在の政策方針を維持すると決めました。年末まで毎月150億ユーロの国債など資産購入を続け、年明け以降は新規購入をゼロにする一方、超低金利政策少なくとも来年夏まで続けるという方針です。そうなると最初の利上げは来年秋以降です。その間、米FRBとの金融スタンスの違いは明らかですから、ユーロが売られるという場面が続きそうです。

政治的な不安もユーロ安に加担するでしょう。

独の地方州議会選挙での連敗が10月のユーロを押し下げたと上に書きましたが、これが体制の屋台骨を揺るがす大きなうねりの始まりだとすれば、将来にわたってユーロへの不安が続くことになります。

日本経済新聞によれば、独のこの流れは一時なものではなく、1968年運動から始まったリベラル思想の浸透であるとのこと。リベラル思想が、個人の自由を尊重するとともに国や民族のアイデンティティも強調する流れになっているのだとすれば、超長期的にはユーロ体制そのものの不安につながります。

昨年、欧州各国の選挙で台頭が心配された極右勢力が思ったほど票を伸ばすことなく一安心したところですが、もはや世論を右翼左翼とか保守革新・リベラルという軸で見るのは流行りません。

世界の一体化を目指すグローバル化に疲れた民衆が自分たちの自由とアイデンティティを重視し始めた、それは右派にも左派にもあります。アイデンティティは個人ベースもあれば組織ベース、国家ベースもある。ユーロ圏というニーチェ的な世界統一や価値観共有化ではなく、それぞれが協調するけど、それでいて自立して割拠する国家の在り方の方に支持が傾いているのではないでしょうか。英の離脱をきっかけにユーロ体制が徐々に崩壊していくような予感すらします。

   

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米国中間選挙:民主党が勝てばトランプ政権の貿易方針や緩和継続スタンスが通りにくくなるが、強硬策に出て円安に政治圧力をかける可能性も

 2. 米国の保護主義貿易と各国との貿易摩擦 :リスク回避行動から円高、日本にも黒字圧縮迫って円安との新シナリオも

 3. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り):201920年の米利上げ動向により海外からの米債向け投資動向が変化する可能性あり。

 5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 6. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :仕上げペースが速まるなら中期でドル高だが、その後は上値重い。2019年に3回、2020年に1回もしくは0回。3%前半で仕上げが。

 2. 米国中間選挙の中期的影響:トランプ政権の貿易方針や緩和継続スタンスの変化の方向により異なる解釈

 3. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 4. 日銀の金融政策スタンス :2018/7月会合では、長期金利上下幅容認しつつも、物価予想を下方修正し緩和策維持を約束(フォーワード・ガイダンス導入した)

 5. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 6. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済を背景に本邦貿易収支改善、対外直投蓄積による所得収支拡大で国際収支説から円高材料。逆に新興国からの資本逃避で景気後退して貿易収支悪化は円安材料。

 3. 欧州各国での反移民、国家・民族アイデンティティ尊重思想の広がりがユーロ圏結束に及ぼす影響

 4. 英のEU離脱交渉の行方とEU結束力への影響

 5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 6. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 

以上

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2018年10月 1日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年9月末現在)

【米ドル】・・・対円

9月は上昇(円安ドル高)しました。

月初111円台前半で始まってまもなく、110円台前半まで下げましたが、その後は次第に押し上げ、113円台後半まで伸びて月末を超えました。ドルを押し上げた理由は、日本の投資家による対外債券投資の活発化です。

円をドルに換えて米ドル債権を購入する動きが活発化すれば、円が売られてドルが買われるというわけです。ただ、それは直接原因で、対外投資を活発にさせる間接要因が大事です。

その1は、日米金利差が開いていることです。

米FRBは利上げ、日銀は緩和継続で明確にスタンスが違いますので投資家は金利の高い運用を求めて米ドルを買います。ただ、買うことのリスクもありますから、そのリスクが小さくなっている必要があります。

その2は外債投資リスクの低下です。

買った後に金利が上昇すると、債券価格が下落してキャピタルロスを被りますので、金利が上がらないことが条件です。米FRBは金利を上げているからそれは無理だと考えるのは早計。その理由はこうです。これ以降の利上げについて、2019年に3%台に達した後の2020年の利上げは行わない可能性も示唆されています。市場は先読みを今に反映するのが常ですから、利上げの先がみえてくると判断し、長期金利は動きません。動かなければ安心して債券を買うことができるというわけです。

その3は「有事の円高」効果減退です。

何かあるとリスク回避先の円が買われるといわれてきましたが、その動きも、過去それが活発だったリーマンショック前の半分以下といわれています。今は日米金利差が両者政策スタンスから開いていますが、あの頃は今の比ではありません。実際投機筋の円売りポジションは随分と縮小しています。中東情勢や北朝鮮のほか、米保守主義貿易など経済リスクも高まっていますが、ひところのような円高が見られないのはそのためです。

他にもあるでしょうけど、この辺にしておきましょう。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

9月は「行って来い」の展開でした。

1.16近辺で始まり、1.18台前半まで上昇したあと、再び1.16近辺まで下げて月末を超えました。

「行って来い」といってもせいぜい0.02の幅ですから、変動したとは言いにくい。むしろ小動きだったというべきかもしれません。1.18まで振れたのは、欧州中央銀行(ECB)の理事会とその後のドラギ総裁の記者会見(「「経済データはユーロ圏景気広範囲拡大、緩やか物価回復進行とのECB見解を裏付けるもの」と指摘」にあるように、堅調なユーロ圏経済とその環境下での政策スタンスの確認があったからでしょう。

ECBは、前月までに金融緩和策である資産購入を年内に終了させることを決めていますが、913日の理事会ではこれを確認。それに向けて、具体的に資産購入額を10月から月150億ユーロ(現在の半分)に縮小すると決めたのです。

ユーロ県消費者物価はECBが目標としている「2%近く」を既に上回っていますし、雇用指標も良好と緩和終了の環境は整っています。さらに賃金の上昇がこのまま続けば2019年には政策金利を引き上げることも可能との見方も広がっているようです。

なのに、何故月末になって1.16近辺まで下げたのか。それはイタリアの財政問題です。イタリアは不安定な政局が続いていますが、財政悪化も原因のひとつ。しかし、それは毎度のこと。大きな流れとしてはECBの金融政策スタンスが確実に出口を出つつあるということが大事です。

 

【今後の短期~長期予想】

 ドル円 ・・・

9月にドルを押し上げた原因である、外債への資金の流れが続くなら、この先も円安ドル高が続くという予想が成り立ちますが、そうなるかどうかを占う材料としていくつかあげましょう。

そのは日米金利差です。

高金利通貨への投資は金利差がなくなれば終わります。FRBの利上げが2019年に終了し、日銀の緩和策が終了するならそうなるでしょう。ただFRBは見えていますが。日銀は見えません。消費税引き上げ時の景気後退を和らげるためにも緩和は継続しそうな気がします。その先の緩和余地等金融政策自由度を失うリスクはともかく・・・。

そのは世界の資金米国還流活発化です。

今、新興国の資金が米に流れています。FRBが緩和を止めたからですが、米に流れると米ドル買いになってドル高を促します。還流が続くかは、新興国の経済によりますが、米政権の保護主義政策が今後も続くなら対米輸出で活況を呈している新興国経済は打撃を受け続け、新興国への資金の流れが戻るとは思えません。

その③は米国の貿易収支です。

保護主義貿易は米国の国際収支を改善させると見るのは、これも早計。保護主義によって海外から物が入って来なくなる分は国内で生産しなければなりません。生産設備がなくなってしまった米国では今後活発に投資が行われると思います。当然米国の貯蓄はこれを賄いきれません。マクロ経済理論から、投資が貯蓄を上回る金額は経常収支赤字と同額です。経常赤字は通貨の減価を招きます。

①と②は円安ドル高、③は円高ドル安。

他にも、インフレ通貨は減価するので、インフレにならない円に比べてインフレが進行しているドルが安くなるとか、米大型減税効果が経済を押し上げる一方で財政困窮を招き、資金市場で民間を圧迫するクラウディングアウトが起こると金利差がさらに拡大してドル高などサブサブシナリオはいくらでもあります。

 

ユーロドル ・・・

ECBの金融政策スタンスが緩和縮小、2019年には利上げの可能性もあるといっているわけですから、金利との裁定取引で相場をみるなら、円の米ドルに対する金利差とユーロの米ドルに対する金利差は歴然としています。

しかも経済の安定感もあるわけですから、そんな通貨の信用力は評価されてしかるべきというところでしょう。1.1台半ばの水準から1.21.25台までは伸ばしてもおかしくないと思います。

ただ、それを邪魔するのはいつも政治です。ちょっと前には極右勢力が伸びるリスクへの心配がありました。南北問題も引き続き政治的課題です。ほかに、移民問題に続き、英国のEU離脱、米のイラン核合意離脱に伴う再制裁、メルケル政権の脆弱化など。こういった不安が解消に向かうとユーロが強くなり、強くなると新たな問題が発生する。政治は、ときとして経済や市場の枠組みそのものを変更してしまう可能性があるので、やっかいです。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米国の保護主義貿易と各国との貿易摩擦 :リスク回避行動から円高、日本にも黒字圧縮迫って円安との新シナリオも

 2. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 3. 米長期金利動向(10年物国債利回り):201920年の米利上げ動向により海外からの米債向け投資動向が変化する可能性あり。

 4. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 6. トルコ・イランなどの政治的材料:緊張が高まればリスク回避機運となって円高へ

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :仕上げペースが速まるなら中期でドル高だが、その後は上値重い。2019年に3回、2020年に1回もしくは0回。3%前半で仕上げが。

 2. 米国中間選挙:民主党が勝てばトランプ政権の貿易方針や緩和継続スタンスが通りにくくなる

 3. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 4. 日銀の金融政策スタンス :2018/7月会合では、長期金利上下幅容認しつつも、物価予想を下方修正し緩和策維持を約束(フォーワード・ガイダンス導入した)

 5. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 6. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済を背景に本邦貿易収支改善、対外直投蓄積による所得収支拡大で国際収支説から円高材料。逆に新興国からの資本逃避で景気後退して貿易収支悪化は円安材料。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)     

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

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2018年9月 4日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年8月末現在)

【米ドル】・・・対円

8月は膠着状態でした。

111円台後半で始まった後、前月末の日銀の長期緩和方針が変わらない旨のフォーワードガイダンスを受けて112円台前半まで強含みましたが、この水準が8月の高値。その後、米中貿易摩擦やトルコ情勢への不安からリスク回避機運が広がる場面では円が買われ、一時110円を切りましたが、あとは総じて底堅く111円近辺での小幅な値動きとなりました。

米ドルの底堅さを支えたのは、日米の金融政策スタンスの違い、つまり米FRBが利上げで、日銀が緩和継続という金利相場ですが、米国株式市場が堅調であることや、NAFTAの対メキシコとの貿易協定見直し案合意などが、リスク回避機運を和らげたことも寄与したと考えられます。

ただ、この水準で小動きとなっていたのは、為替相場が安定しているからというよりは、むしろ相反する多様な材料が互いに押し合い、その力が現状では微妙にバランスをとっているからといえます。これについては後述します。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

8月は急落して後戻る展開でした。

月初1.16の後半で始まった後、不安定なトルコ情勢に売り込まれ、1.13台の前半まで急落しました。トルコと経済的に関係の深いユーロ圏の経済も相当の影響を受けるだろうとの心配からです。1.13台というと、ここ1年以上もつけていなかった水準ですから、インパクトは小さくありません。このタイミングで米ドルとともに円が買われ、円の買われ方がより強かったために、ドル円相場は110を切る水準まで下がりました。

さて、このトルコの状況はなんだか経済制裁復活したイランの状況にも似ています。米国の対イラン経済制裁が復活し、イランは必至に抵抗を試みているようですが、個別企業単位ではイランから手を引く欧州企業が少なくありません。トルコの問題もイランの問題もまだ片付かず、それどころがますます深みにはまっていく可能性があります。にもかかわらず、ユーロは1.13台のあと一気に1.17台前半にまで反発して1.16台前半で月末を迎えました。どういうことでしょうか。

トルコもイランも短期の投機材料としては興味深いものですが、中長期では現状の堅調なユーロ圏経済の方に目が向いているということだと思います。欧州中央銀行のスタンスも資産買取年内停止に変更ありません。

 

 

【今後の短期~長期予想】

 ドル円 ・・・

上に書いたように、今は相反する材料が互いに押し合っている状況です。

まず相対的に高金利が通貨を増価させる金利相場理論。FRBは9月FOMCで利上げすると見込まれており、それを含めて年内2回、来年3回の利上げが予想されていますが、トランプ政権は事あるごとに利上げを批判し、なんとか緩和状況を維持させとしています。FRBパウエル議長もハト派的(誰が言い出したのか、ハト派とは緩和派、タカ派とは引締め派を表しているらしい)発言をしており、そうこうしているうちに日銀の緩和出口が近付くなら、日米金利差が縮まって$安¥高予想となります。

しかし、トランプ政権のやっていることは正反対。政権が打ち出した超大型減税は財政を圧迫しますから、クラウディングアウトが起こって金利が高くなります(まだ長期金利には大きく顕れていませんが)。そうなると日米金利差はますます開いて、上とは逆に$高¥安予想に変わります。

国際収支論(赤字は通貨の減価)はどうでしょう。トランプ政権が一方的に進める保護貿易は輸入を減らして貿易赤字額縮小効果が期待できますので、$高¥安予想です。しかし、これもトランプ政権のやっていることは正反対。超大型減税による民間の投資促進効果と政府の公共事業で純貯蓄が大きくマイナスになると、(貯蓄-投資=輸出-輸入)から、経常収支の赤字が拡大して$安¥高予想に変わります。

ちら押し合いに勝つか、中間選挙の結果も大きく作用するでしょう。

 

ユーロドル ・・・

政治的な材料はいくつかあります。上に書いた、トルコやイランの不安定な情勢もそのひとつです。しかし、ユーロ圏経済の底堅さはこれを支えていくでしょう。

ユーロ圏経済の主な指標の推移

GDP成長率(データ取得先=Eurostat

                                         
 

 

 
 

2017Q1

 
 

2017Q2

 
 

2017Q3

 
 

2017Q4

 
 

2018Q1

 
 

2018Q2

 
 

ユーロ圏

 
 

102.6%

 
 

102.0%

 
 

102.6%

 
 

102.5%

 
 

102.2%

 
 

 

 
 

ドイツ

 
 

103.4%

 
 

100.9%

 
 

102.2%

 
 

102.2%

 
 

101.3%

 
 

102.4%

 

・失業率(データ取得先:ECB

                           
 

 

 
 

2017Q1

 
 

2017Q2

 
 

2017Q3

 
 

2017Q4

 
 

2018Q1

 
 

2018Q2

 
 

ユーロ圏

 
 

9.46%

 
 

9.15%

 
 

8.96%

 
 

8.71%

 
 

8.55%

 
 

8.28%

 

・消費者物価(HICP)(データ取得先=ECB

                           
 

 

 
 

2017Q1

 
 

2017Q2

 
 

2017Q3

 
 

2017Q4

 
 

2018Q1

 
 

2018Q2

 
 

ユーロ圏

 
 

1.8%

 
 

1.5%

 
 

1.4%

 
 

1.4%

 
 

1.2%

 
 

1.7%

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米国の保護主義貿易と各国との貿易摩擦 :リスク回避行動から円高、日本にも黒字圧縮迫って円安との新シナリオも

 2. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 3. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 6. トルコ・イランなどの政治的材料:緊張が高まればリスク回避機運となって円高へ

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :仕上げペースが速まるなら中期でドル高だが、その後は上値重い

 2. 日銀の金融政策スタンス :2018/7月会合では、長期金利上下幅容認しつつも、物価予想を下方修正し緩和策維持を約束(フォーワード・ガイダンス導入した)

 3. 米国中間選挙:民主党が勝てばトランプ政権の貿易方針や緩和継続スタンスが通りにくくなる

 4. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 5. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 6. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

     

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済を背景に本邦貿易収支改善、対外直投蓄積による所得収支拡大で国際収支説から円高材料。逆に新興国からの資本逃避で景気後退して貿易収支悪化は円安材料。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)     

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

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2018年8月 1日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年7月末現在)

【米ドル】・・・対円

7月も平均を上げました。

平均とは月中平均の米ドル相場のことです。3月に付けた104円台後半を当面の安値(円高値)として、月中に上下しながらも月平均でみると4月は107円水準、5月は110円水準、6月は足踏みしたものの7月は再び上げて112円水準ときていますので、その意味で「7月も平均を上げた」というわけです。

月中では、110円台後半で始まり、月央にかけて上昇(ドル高)しました。材料としては、米中貿易戦争に関わり日本にも黒字圧縮を迫って円安進行するとの見方、米FRBパウエル議長が議会で利上げ姿勢を崩さない発言をしたことなどです。特に、については、貿易戦争がリスク回避としての円買いを促すとのこれまでの見方が外れたと市場が感じ、逆に円安見方へと変化したことを意味しているようです。これらを材料に相場は113円台前半まで伸ばしました。

しかし、その後は緩和継続の副作用を気にし始めた日銀が緩和策の収束に向けた調整に出るのではないかとの予想が広がり、110円台後半まで急落しました。月末には日銀の政策決定会合が開催され、金利の従来以上の上下幅を容認することで市場の予想を追認する一方、先の物価上昇見通しを下げて、今後も緩和を継続するとしたため、再び上昇する気配をまきながら月末を越えました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

7月は小動きでした。

月始めの1.16台半ばから上旬につけた1.17台後半までの間で往復するような、方向感の定まらない動きでした。

ドイツやイタリアの政治不安が解消されたことや、欧州中央銀行が6月の理事会で、資産買取りを年内で終了することを決めてから、中期的には米欧金利差が縮まるとの見方などがあり、ユーロに情報ドライブがかかった一方、米FRBのパウエル議長議会証言(利上げ姿勢を崩さないとの証言)で上値も重たい状況だったためとみられます。

726日の欧州中央銀行理事会では、金融政策の現状維持が決定され、いままでの見方を変更する必要がないと言えますが、7月発表された欧州委員会の経済見通しはあまりよくありません。

2018年のユーロ圏成長率は2.1%と前回(5月)見通しから0.2ポイント下げたのです。好調だった昨年末の反動とも言えますが、欧州中央銀行ドラギ総裁の発言も「物価基調は総じて弱い」と利上げに対してはあまり積極的には認めようとしませんでした。

実態経済と金融政策の両面から上下材料が拮抗ないし乏しい状態の中、相場も動かず結局1.17近辺で月末を越えました。

 


【今後の短期~長期予想】
 
ドル円 ・・・

相場の動きを長めにふりかえると、政権交代後の円安が20155月の124円台まで進んだ後に20169101円台半ばまで戻り、その後は上値1146円、下値104107円の間を上下しながら次第にその幅を縮め、現在の水準に収束してきたように見えます。こんな時は、次に来る大きな流れと振れに気をつけなければなりません。そこで注目したいのが、以下の材料です。米FRB議長の議会証言の一方で議会に提出された金融政策報告の指摘です。

・米貿易政策の世界経済への悪影響から、新興国の資金流出が起きてドル高加速するが、次にはそれが米景気を下押しする。

・米短期金利は政策効果を得て上昇しているが、10年債利回り上昇せずに長短金利差が縮小している。これは景気後退の全兆である。

・米政権財政政策(大規模減税)効果は短期に一巡し、2019年後半から景気減速する。

いずれも、今後中期的な米経済減速材料です。中長期では日米金利も縮小してドル相場は下降(円高)すると予想します。

 

 
 
 
ユーロドル ・・・

昨日(731日)発表された、201846月のユーロ圏経済成長率は年率1.4%でした。一時の勢いは陰っているとはいうものの、これで21四半期連続のプラス成長となっていると日経は報じています。

また、7月のユーロ圏消費者物価指数速報値は前年同月比2.1%上昇しました。これは201212月以来の高い伸び率だそうです(日経)。原油高に伴う要因もあり、デマンドプッシュではないものの、欧州中央銀行が設定しているインフレ目標近辺です。実態経済は遅いが着実に伸びていると言えます。

一方の金融政策スタンスでは、資産買取り停止を決めた6月の欧州中央銀行の決定は新鮮味が薄らいでいるとは言うものの、年内停止には変わりなく、着実に実行されるでしょうし、上記の経済ファンダメンタルズからは、すぐにではないにせよ利上げ環境も整ってくるのではないでしょうか。仮にと問わなくても、米の利上げが来年にも収束するなら米欧金利差は落ち着くはずですから、中長期ユーロは底堅い、むしろ上昇傾向にあると見るのが自然です。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米国の保護主義貿易と各国との貿易摩擦 :リスク回避行動から円高、日本にも黒字圧縮迫って円安との新シナリオも

 2. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 3. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :仕上げペースが速まるなら中期でドル高だが、その後は上値重い

 2. 日銀の金融政策スタンス :2018/7月会合では、長期金利上下幅容認しつつも、物価予想を下方修正し緩和策維持を約束(フォーワード・ガイダンス導入した)

 3. 米欧の貿易協議の行方(自動車関税など) :回避ならユーロ底堅く、EUに不利に傾くなら景気後退、物価上昇速度低迷、ユーロ売り

 4. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 5. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 6. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

     

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済を背景に本邦貿易収支改善、対外直投蓄積による所得収支拡大で国際収支説から円高材料。逆に新興国からの資本逃避で景気後退して貿易収支悪化は円安材料。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)     

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上   

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2018年7月 3日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年6月末現在)

【米ドル】・・・対円

6月はドル高に動きつつ低い天井がこれを抑えました。

ドル買い材料がいくつか揃ったわりには思ったほど相場が上昇しなかったなあという印象です。ドル買い材料は、

 米利上げ :61213日の米FOMCは予想通りとは言え、利上げを決定し、欧州中央銀行とのスタンスが拡大したことから、金利相場として米ドルが買われました。

  米への資金還流 :米利上げに伴い、各国から資金が引き揚げられて米国に還流しています。還流はドルを買う事によって行われますからドル買い材料です。

これに加えて、イタリアの政局がとりあえずは着地したことや、終盤に不安要素も出た米庁首脳会議が成果はともかく無事開催されたことなども危機回避の動きを和らげてドル買いに貢献しました。
ドル売り材料もしくは円買い材料は

米中貿易摩擦 :経済が停滞するリスクを予感させ、リスク回避のための円買いが上のドル買い材料の天井を抑えつけました。

この結果、月初、比較的ドル安円高の108円台後半で始まった後、110円台までドルが上昇しましたが、その後109円台まで戻り、月末にかけては再び110円台半ばまで伸ばして引けました。

【ユーロ】・・・対米ドル
6
月は底這いを続けました。
「底」とは対米ドル1.15の水準です。思えば、201712月から20184月頃までは1.201.25の水準で推移していましたから、1.15はそれに比べると低いうえ、1.155月にも付けており、それから下げ止まったあと、一旦は1.17の水準まで持ち直す場面もあったため、この状態が「底」に見えるというわけです。
なかなか這い上がれないのは、欧州中央銀行(ECB)のスタンスと米FRBスタンスの開きと、リスク回避の動きです。
ECBは614日の理事会で、資産買取りを年内いっぱいで止める方針を決定しました。これは想定の範囲内ですが、金利は少なくとも2019年夏までは現在の水準を維持する方針としたことで、緩和スタンスは維持され、米FRBの利上げ加速スタンスとの開きがはっきりしました。将来の予想金利差を反映して、ユーロを底に抑えつけた格好です。
リスク回避の動きは、米中貿易摩擦など先行き不安から円に逃避する動きです。これは米ドルの上値を抑えましたが、ユーロの這い上がりも阻止しました。
上記の結果、月初1.16半ばで始まったあと1.15半ばの水準を這いまわり、結局1.16半ば~後半の水準で月末を越えました。

 
【今後の短期~長期予想】
ドル円 ・・・
当面は短期的な材料が相場を上へ下へと動かすと思いますが、中長期的にはドル安円高材料が溜まっています。
短期的な材料は、ドル高材料として、米利上げと欧州中央銀行や日銀との金融スタンスの開き、新興国からの米国への資金還流があります。また、短期的なドル売り材料として、米中・米欧貿易摩擦による経済停滞リスク不安からの円への逃避、日本を標的にした米による為替操作非難(いわれなきことではありますが)などがあります。また、近時相場変動要因が政治がらみ化していることを考慮すると、米朝首脳会談で合意された非核化に反する動きが北朝鮮内で見られることや、メキシコ大統領選挙で米トランプ大統領の向こうを張るような自国第一主義者が当選したことなども、リスク回避の動きを促す材料となるかもしれません。

ただ、これらは短期材料です。中長期では、市場の思惑だけで予想すると危険。注目しておくべきは、日本のデフレ脱却困難性と経常収支です。
デフレから脱却できずに金利は低いままなので日米金利は拡大する一方。拡大すればドル買い材料になりますが、これは短・中期です。もっと長期では、インフレ通貨は減価するという購買力平価で決まってくることから、デフレ脱却がもたついて日米物価水準が離れるほど円高が進みます。
また、最近は米中間貿易戦争が話題にのぼるため目立ちませんが、日本の貿易黒字・経常黒字は確実に積み上がっています。特に超長期では所得収支の伸びは、国際収支発展段階説からも見えるように、避けることはできません。円高圧力はじわじわと近づいています。

ユーロドル ・・・
6
月は1.15という低い水準を這いまわりましたが、実は1.15という水準はもっと長期でみるとさほど極端な「底」というわけではありません。過去、南欧の財政危機を背景に1.05の水準まで落ち込んだのと比べると、そこまではいかないというところです。その南欧の財政危機について、毎年夏になると話題に上りユーロ売りの材料にされてきたギリシャ財政問題は、先ごろ長期支援に切り替えるという合意がなされ、返済条件が緩和されたことから今年はリスクとならずに済みそうです。なにも、その差が1.151.050.05・・・というわけではございませんが。
今後は上値が期待できるのではないかと思います。ユーロ圏経済には少し一服感が見えてきた先々月~先月は、これを材料に緩和出口が先送りされるのではないかと見られて売り込まれましたが、物価水準は消費者物価で、31.4%、41.2%、51.9%、62.0%と目標を維持しつつあり、利上げ環境が整っています。一方の米FRBの利上げは2019年には完了すると見られており、長期的には米欧のスタンスの開きは縮まることは明らかです。金利相場からはユーロが買われる場面がありそうです。
また、超長期では、先ごろ独メルケル首相と仏マクロン大統領が合意したユーロ圏運営方針の行方も気になります。合意されたように、ユーロ圏内の南北問題解決策として部分的な財政移転が現実のものになるなら、通貨・金融政策の統一につづくユーロ圏固めの目玉となり、ユーロが持っていた構造的な問題の解決につながる可能性があり、通貨の信用力強化にもなるでしょう。ただし、財政移転には警戒するむきがかなり多いと思われ、その実現は不透明です。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米国の保護主義貿易と各国との貿易摩擦 :リスク回避行動から円高

 2. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか~2018/6に判断するか、7月まで伸ばすか。

 3. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 4. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 5. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :仕上げペースが速まるなら中期でドル高

 2. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 5. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

     

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済を背景に本邦貿易収支改善、対外直投蓄積による所得収支拡大で国際収支説から円高材料。逆に新興国からの資本逃避で景気後退して貿易収支悪化は円安材料。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)     

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

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2018年6月 2日 (土)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年5月末現在)

【米ドル】・・・対円

5月は上下しました。

月初109円台前半で始まり、上昇(円安)したのは21日(111円台前半)、下がった(円高)のは月末にかけて(一時108円台前半)です。

あげた要因は

①米経済の好指標が利上げ環境を整え、利上げ回数の増えるのではないかとの見方がでてきたことから、日米金利差によるドル買い円売り。

②日本の対外直接投資に伴う円売り(海外企業買収資金を調達し外貨に換える)。

③米国のイラン核合意離脱に伴う原油価格情報で本邦の貿易収支黒字幅が縮小するとの予想による円売り(貿易収支説:赤字は通貨安)。

下げた要因は

①トランプ大統領がいきなり中止した米朝首脳会談の行方

②米国の輸入自動車などへの関税大幅引き上げ

③イタリアやスペインの政局不安定化

による不安からリスク回避機運が高まり回避先の円を買う動きにでたことです。

結局、さげたまま108円台後半で月末を超えました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

5月は下がりました。

昨年11月から買われ、1.25近辺の水準まで上げた1月をピークに結局11月の水準(1.15)にまで戻すという、きれいな山を描いたような軌跡をたどりました。

下げた要因は2つあります。

まず金融緩和の出口が見えにくくなってきたこと。ユーロ圏5月の購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.14ヶ月連続して悪化。域内の13GDP成長率も前期比0.4%にとどまるなど、ユーロ圏経済は息切れぎみとなっています。このため、欧州中央銀行は、9月末に期限を迎える量的緩和政策の終了を、予定していた6月ではなく、7月の理事会まで判断しない可能性もでてきました。緩和の出口が見えなくなると、米国との金利差が開き、ユーロが売られる原因になります。

要因の第二は南欧の政治不安です。

選挙後のイタリアは組閣に失敗して混迷の度合いを踏まえ、イタリア10年物国債利回りは月末にかけて3.4%水準にまで上昇しました。このほか、スペインでもラホイ首相への不信任案などあり、通貨ユーロ売りの材料になっています。

月末にかけて1.15台前半まで下げて結局1.16近辺で月末を超えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

為替相場の変動が、金融政策や経済動向より政治の影響を大きく受けるようになってきました。政治にも経済に絡む政治とそうでない政治がありますが、米朝首脳会談の行方とその先の朝鮮半島や中露のかかわり方、またイラン核合意離脱と中東での対シーア派包囲網形成の行方は経済に絡まない純粋に政治だけの要素です。市場は世界情勢の混乱をリスクオン・オフへの機運として相場変動の材料として捉えています。

これらが不透明になるなら、リスク回避先の円買いで、そうでない場合はドル買いという具合。もっとも、イランに関しては原油価格変動を通じて、為替相場に二次的な影響ももたらします。原油高では日本の貿易収支が悪化し、円が売られるという具合です。

これら政治要素はさておき、考慮しておかなければならないのはやはり米FOMCの利上げでしょう。5月の米経済指標はいずれも好結果で利上げ機運は上々。6FOMCで利上げし、その後も数回の利上げが見込まれています。3月の利上げを含めて今年の利上げは4回あるとの見方もあります。

利上げが進むと、日米金利差から、ドル高円安。ただ、中長期では米に資金が還流し、新興国の経済に深刻な打撃を与えることにもなり、こうなると逆にリスクオフの動きから円買いが進むとの見方もあります。

今は短期ではドル買い、中長期では円買い、いや或いはどちらにも動きにくい状況かもしれません。今まで円売りが相当たまっていたシカゴの先物市場での投機筋のポジションは、今はほぼなくなっているようです。やはりどちらにも賭けられないということなのでしょう。

 

ユーロドル ・・・

金利のユーロ買い材料は、欧州中央銀行の量的緩和政策の出口が見えていて、物価などの環境もそれを支える状況だったからです。9月期限の量的緩和政策もここで順当に終えるという思惑から、米利上げについていけるとみていた。つまり米欧金利差がさほど開かないと予想していたし、またユーロ圏経済の足取りもしっかりしていたから、通貨への信用を取り戻しつつあったのです。

しかし、トランプ大統領の積極経済政策から財政が窮屈になってクラウディングアウトを起こしかけていることなどから、金利上昇速度と圧力が当初予想を上回っていること、5月のユーロ圏経済指標から息切れ感がでてきたことを材料に、ここ当面はユーロを買いにくい状況になっています。

そうなると、先月まで市場が良そうしていたように、9月には量的緩和を終了し、2019年には利上げに進むだろうという予想は、そのままでは通りにくく、このシナリオがメインとして復活するためには、まず南欧政局が落ち着くこと、それからPMIと物価が戻ってくる必要があります。両者は引き続き注目していかなければなりません。

異常は短・中期のはなしです。超長期ではやはり、ユーロの構造的な問題への取り組み(財政統合など)や打開の方向を見極めていく必要があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 北朝鮮情勢:6月に予定されている、米朝首脳会談の行方次第で大きく変わる政治リスク。円への信用力にも影響する可能性。

 2. 米国FOMCの金融政策スタンス。61213FOMCで予想通り利上げ決定するか。

 3. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか~2018/6に判断するか、7月まで伸ばすか。

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 6. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :年内利上げは3回にとどまるか、4回に及ぶか

 2. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 5. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 6. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

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2018年5月 7日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年4月末現在)

【米ドル】・・・対円

4月はドルが高くなりました。

月初105円台後半で始まったドルはその後買われ、下旬には109円台に乗せるまでドル高が進んで、109円台前半で月末を越えています。

中期的にドル売り円買い材料であった、シリアや北朝鮮の政治リスクは後退し、トランプ政権の保護主義政策進行はむしろ米金利高騰要因であるとの解釈となるなど、リスク回避かリスク挑戦かの相場判断が、再び金利動向による相場判断に戻ってきたような感じです。

月初に発表された米国3月雇用統計も、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回ったにもかかわらず、そのことがもたらす金利引上げ環境不十分印象を無視するかのように、現実の米金利が上昇したのです。特に下旬は米10年物国債利回りが20141月以来の3%台まで上昇してからドル買いが顕著となりました。425日付け日経新聞朝刊は金利上昇の背景として以下の諸点を指摘しています。

 トランプ関税引上げで米国内の鉄鋼やアルミ等値上がり

 大規模減税で米財政悪化、国債需給悪化→金利上昇

 賃上げで消費需要拡大が物価を押し上げ

これは今後の相場動向を占う際にも気に留めておかなければなりません。

 

 

【ユーロ】・・・対米ドル

4月は一旦上昇後、結局下がりました。

月初、1.23台前半で始まったユーロは、一旦1.23台後半から1.24台まで上昇しましたが、その後は米金利上昇もあって下落し、結局1.20台後半で月末を越えています。

一旦上昇した背景には、欧州中央銀行による金融緩和出口模索の動きへの期待からでしょう。ユーロ圏経済は比較的好調できたので、緩和措置を収束させやすい環境が着実に整っていると見てきたわけです。

しかし、直近のいくつかの指標は必ずしもそれを裏付けることなく、すこし疑わしくなってきました。ユーロ圏物価上昇率は1.1%台に伸び悩み、インフレとは言いにくく、ユーロ経済を牽引する独経済も、企業景況感指数が5ヶ月連続して悪化するなどです。

そこへきて、米10年物国債利回りが久しぶりに3%台に乗せた為、ドルに対して急落、1.20台後半で月末を越え、52日現在は1.20台前半まで値を落としています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

金利動向を見る相場判断になってきたと書きました。その場合は、ドル高を予想します。その材料としては、

 上にも書いた、関税引き上げによる輸入インフレや大規模減税による国債需給悪化など金利上昇要因があること

 黒田総裁の再任で日銀の緩和スタンスが変わらないことで日米金利差が拡大する

 日本の経常黒字拡大と日本企業による活発な対外直接投資(円売って投資対象通貨を買う)

一方で、金利以外では2つの円高材料を指摘することができます。

第一に、ドル指数(米ICEが算出する)でみた円は割安感が強いこと。米が13日公表した為替報告書でも実質実効円レートは下がったと批判しています。原因は日本のデフレ。超長期為替相場決定理論として購買力平価説がありますが、これを占うのは物価上昇率です。米でインフレが進行し、日本でデフレ脱却できないなら、この理論によりドル安円高ということになります。

第二に、各国の外貨準備の通貨別構成比変化。これは円高の問題ではありません。2017年は米ドルの構成比が3ポイント下がって62.7%となったようです。これに対してシェアを伸ばしたのが円とユーロです。この傾向が中長期に変わらなければドル売り材料となります。

さて、ドル高材料と円高材料のどちらか強いかは難しいところ。ただ、上に書いたドル高材料は短~中期材料、円高材料は中~長期材料です。当面はドル高で長期には円反転という予想が成り立つかもしれません。

 

ユーロドル ・・・

426日、欧州中央銀行(ECB)の理事会終、ドラギ総裁は記者会見で、足元の景気拡大は鈍っていると認めました。そのため理事会も、量的緩和や超低金利政策は当面維持すると決め、声明文表現も変更ありません。しかし同総裁は、景気拡大の鈍化は昨年末高成長の反動であるとし、長期的には成長継続に強気です。

3月の消費者物価指数は2月の1.1%から伸び、今後はエネルギー価格上昇を背景として上昇していくと見ているようです。物価指数動向も踏まえ、ECBは20189月まで延長してきた資産買い入れ(緩和策)の終了を20186月にも決定し、2019年以降は利上げに動くだろうというのが大方の市場の見方です。ここ当面の米金利上昇に引っ張られる状況をしのげば、その先はユーロ高というシナリオになります。

ただ、超長期でユーロ圏経済とユーロ通貨が安定していくためには、ここしばらく忘れていた課題があります。財政統合です。これは加盟各国の政策自由度を奪うような方向性ですが、先日の日経新聞によると、どうやら仏マクロンが積極的に進めようとするなか、独メルケルは慎重。加盟各国も自国の政策自由度を損なう方向には、それを犠牲にユーロ全体が結束する事には理解を示しても、やはり自国のこととなると慎重。超々長期的には不安があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 北朝鮮情勢:56月に予定されている、米朝首脳会談の行方次第で大きく変わる政治リスク。円への信用力にも影響する可能性。

 2. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 3. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 2. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか~2018/6にも判断する模様

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 5. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

 

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2018年4月 2日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年3月末現在)

 

【米ドル】・・・対円

3月は、後半に一段円高になる場面がありました。

201710月の114円前後を当面のピークとして、その後じりじりと下げ続け、3月下旬に一時201611月以来の安値104円台半ばを付けるまでに至りました。一連のドル安円高は、

・米以外の当局が緩和措置の出口を探るようになってきたこと。

・米利上げでも、インフレ圧力強まって多通貨に対して弱くなる(インフレ通貨は減価する)との予想を背景にしたものです。

しかし、3月はこれに加えて、米の保護主義政策の進展がありました。保護貿易が進むと米貿易赤字が減少し、ドル高になるのが本来の理論ですが、保護主義を進める一貫として、米以外を「為替操作国」に認定するなど政治的に米ドル安を測るだろうという思惑から、逆にドル安円高・・・と読んだのです。理屈もなににもあったものじゃありませんね。

その後月末にかけては、朝鮮半島を巡る動きが緊張緩和につながるかもしれないとの期待から、リスク回避先からの還流があってドルが買われ、107円をうかがいつつ、106円台で月を越えました。

なお、FRBは金利を引き上げましたが、これは予想通りで市場へのインパクトは大きくありませんでした。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

3月は、往ったり来たりでした。

値幅はさほど大きくありませんでした。大きくは、2016年冬の1.05水準を底にし、そこからじりじりと値を上げて、今の水準まできたところで少し逡巡しているという流れです。じりじりと上昇してきた背景には、欧州各国の一連の選挙への不安がありました。3月も独メルケル政権がなんとか連立にこぎつけて安心する場面や、逆にイタリア総選挙で中道右派が勝利したことへの不安などありましたが、2016年ほどの影響はありません。

3月の欧州中銀(ECB)の動きは上旬にありました。8日の理事会では金融緩和の縮小を着実に進めていく姿勢を示しました。ECBは既に1月、国債などの資産購入額を月300億ユーロ(約4兆円)に半減させる動きを示し、今回の姿勢も併せ、出口策を着々と進めており、ユーロ買い材料となっています。

ただ、いつものようにドラギ総裁の発言は、それを中和させるように緩和継続の必要も解いており、なかなか一段のユーロ高までは進みません。月初1.22の水準で始まったユーロは、往ったり来たりしながら結局1.23台で月を越しています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

政治的な動きが市場の思惑に影響する場面もあって、なかなか読みにくい状況にありますが、それも含めて売り買い両方の材料を整理するなら。

ドル売り円買い材料は、上に示したように

①日銀の金融緩和措置の出口策の模索具体化

②米保護主義政策進展に伴う政治的な動きとしてのドル安政策

③米経済のインフレ圧力によるドル安

ただし、①は総裁続投と続投する総裁があくまでも緩和継続にこだわり続けていることから少し弱めです。また、③は中長期的な将来の材料です。

ドル買い円売り材料は、

①FRBの利上げ頻度とそのスピード

②日銀の緩和政策への固執

ただし、②は短・中期的には文字通り、日米金融政策スタンスの差という意味でドル買い材料になりますが、さらに超長期では、日銀による財政支援体質が円通貨への信用を損なって構造的な円安につながるというリスクもはらんでいます。

 

ユーロドル ・・・

ドル円にも共通する材料として、米保護主義政策進展に伴う政治的な動きを考慮しておく必要があります。対円ほどではないにしても、米が貿易不均衡を解消していこうという強い意向には、ユーロ圏、特に独の突出した貿易黒字も例外としないでしょうから。

先月書いたように、ユーロ圏経済の強いファンダメンタルスもユーロ高に寄与するものと思われます。さらに、毎年夏になると問題が持ち上がってユーロの信用不安をもたらすギリシャの財政も、今年は早々と融資枠継続でコンセンサスが得られているようです。

これらはいずれもユーロ買い材料ですが、ドルに対する相場動向でいうなら、米利上げ頻度が増すと言われるなか、ユーロの緩和出口とどちらが早いか強いかによっては、米ドルに対してユーロが売られる場面もあります。

また、中長期的には、英国のEU離脱は経過措置をとることで合意されたものの、交渉の成り行きによってはユーロ不安になるリスクもあります。

 

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 2. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 3. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 4. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 2. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 3. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 4. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか~2018/6にも判断する模様

 5. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 英のEU離脱交渉の行方2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

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2018年3月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年2月末現在)

【米ドル】・・・対円

2月は円高になりました。

1月に続いて2月もドルが売られ、一段の円高に進み、一時105円台半ばをつけました。為替相場は短期材料や中長期材料など時間軸の解釈でも方向が変わるし、同じ材料でもその先の何を想定するかで上下が異なる反応を示す場合もあります。例えば大震災発生直後は海外投資回収で円高になるがその後はファンダメンタルズから円に嫌気さすという具合です。2月の円高も今回は市場の解釈が円高を促したということです。少しこの背景を見てみましょう。

2日の米雇用統計は賃金の伸びが良く、利上げの環境が整う状況となりました。米利上げなら日米金利差から円安です。しかし、利上げを見越して米長期金利が高騰して株が大きく売られたことで円高になりました。株下落はリスク回避動機を刺激して回避先の円が買われたのです。株価変動を介すると円安が円高に代わってしまう。

14日に発表された消費者物価指数(CPI)も円高に作用しました。CPIの上昇率が市場予想を上回ったため、インフレ懸念が広がりました。雇用統計の賃金もインフレ効果を発揮しますからこれと重なって、インフレ通貨は売られるという理屈に沿って円高になったのです。しかし、インフレは利上げ環境をさらに高めるはず。どうしてここでは金利相場にならず、インフレ理屈が優先したのでしょう。市場がどちらを優先するか・・・ですから、短期相場は理屈だけでは予測できません。

この時期、海外投資先の(日本への)利益送金のカバーが持ち込まれるため、円買い実需があるという季節要因もあります。また、IMMの投機筋の円売りが積み上がりこれを調整動きもあったのではないでしょうか。その辺りが市場の選択を決めたのかもしれません。月末は106円台中~後半で超えました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

2月は往ったり来たりでした。

月初1.24台前半という比較的高い水準で始まったすぐ後、米雇用統計が発表され、賃金が市場予想より高いことを受けて米の長期金利が高騰し、ドル買戻しユーロ売りの動きとなりました。相場はずるずると1.22台前半まで落ちました。しかし、この材料が消化されると、再びユーロが買われ、1.25台半ばまで上昇しました。放っておくとユーロが買われる背景には欧州中央銀行(ECB)の金融緩和が出口に向かっているとの認識があります。実際、111日に公表されたECB12月理事会議事録では、2018年の早い時期にこれまでの金融緩和政策を修正する可能性があるとの指摘が出ていました。市場の想定が議事録によっても裏付けられたのです。

ところが、222日に発表された1月理事会議事録は、これとは違う内容でした。フォワードガイダンスの変更はまだ早すぎで、しばらくは緩和を続ける方針となっていたことが明らかになったのです。これを受けて、ユーロ買いの根拠がなくなり、梯子をはずされた格好になった相場は再び1.22付近まで下がってそのまま月末を越えました。

なので、往ったり来たりの相場展開となったのです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

上に書いたように、短期相場の予測はとても難しい。材料として挙げるなら、米金融当局の利上げスタンス(今年は3回なのか4回なのか)、北朝鮮や中東等の政治リスクや原油価格などでしょう。中長期で見るなら、やはり金融政策のスタンスとそれによる経済への影響の仕方に注意しておく必要があります。

日米とも長い目で見ると低金利状況にあり、両者とも金融当局は金融緩和の出口をさぐっています。日銀は「出口」とは言いませんが、実態は表に出ないように緩和を縮小しつつあります。米ではFRB議長が交代しましたが基本スタンスがイエレン氏を引き継ぐものとなっており(27日の議会証言でも期待を裏切らなかった)、日銀は黒田総裁続投が決まったことで、この先のスタンスも変わらないと見ます。

しかし、異なるのは経済のファンダメンタルズ。米は好調で利上げしてもインフレ率はさほど落ちない。トランプ減税や大型公共投資で財政に不安ができるものの、新興国など海外からの資金還流でバランスをとることができます。それに対して、日本は経済底這いで、財政がなんとかこれを支えている。利上げすると、国債費が嵩んで財政が経済を支えられなくなり、いくら日銀が国債を引き受けても限界。そうするとインフレにならないのに短期長期金利だけが高騰するでしょう。そうなるとデフレ通貨対インフレ通貨という構図になってドル安円高が進むということになりそうです。ただし、中長期です。

超長期では国債利回り高騰して財政破綻し、円信用が失墜しないことを切に望みます。予算案が通りました。低金利をいいことに財政に頼りきった経済運営はまやかしではないかと心配になります。

 

ユーロドル ・・・

2月は往ったり来たり・・・と方向感のない相場展開になりました。ECB理事会の方向がフォーワードガイダンスを修正すると言ってみたり、やっぱりやめたと言ってみたりでは、どっちつかずになってしまうのでは当然です。

今後を予想する材料として、一旦ECBスタンスから目を離し、ファンダメンタルズに着目すると、やはりユーロが強そうだなと思います。

欧州委員会は2019年までの経済見通しを公表しました。228日付け日経新部にも掲載されました。それによると、ユーロ圏の2018年の実質成長率を前回見通しは201711月から0.2ポイント高い、2.3%へ上方修正、実質成長率は2019年も2.0%と前回から0.1ポイント上方修正、消費者物価指数の上昇率は2018年が1.5%とこれも前回比0.1ポイント上方修正(2019年は1.6%と前回から横ばい)としています。2019.3月英離脱影響は加味せず、英国との貿易関係などは現状維持を想定した見通しではありますが、ユーロ圏経済が好調を維持するなら、やはり緩和措置は解消してインフレ対策として金利も引き上げていくのではないでしょうか。

ただし、政治上の懸念材料として、ドイツの大連立政権成立懸念、イタリア総選挙があります。昨年の一連の欧州選挙よりは懸念度合い低いものの、やはり見ておかなければなりません。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 3. ドイツ :メルケル首相の大連立成立の行方、イタリア総選挙の行方

 4. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 5. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 6. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 3. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 4. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 5. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

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